2012 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の在宅勤務の促進要因と支援のあり方に関する実践的研究
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23653160
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
山岡 由美 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (30410442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 寛美 中部学院大学, 人間福祉学部, 講師 (50440582)
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Keywords | 精神障害 / 在宅就業支援団体 / テレワーク |
Research Abstract |
全国にある在宅就業支援団体8ヵ所へのヒアリング調査を行い、その支援の内容について分析した。上記支援団体で得られた調査をもとに、雇用前・雇用後における支援対象者と企業双方への支援について分析し、就労の継続に困難を抱えた精神障害のある人たちの新たな就労形態として、テレワークの可能性について検討を加えた。 調査を実施した在宅就業支援団体で共通する点は、いずれも就労移行支援事業・就労継続支援事業を併設していた。これは、就労を希望する人たちの就労の準備段階が様々であることと障害の多様性に対応するものである。また、在宅就業支援団体内での訓練を経て企業への就労という流れによって、次へのステップを見通した支援が、企業就労への実績にあらわれていると考えられた。 在宅勤務については、一企業に精神障害のある人も含めた複数の障害のある人たちが雇用契約を結び、定期的なミーティングを設けることで、職務遂行上の課題の発見や不安の解消の軽減をはかり安定した就労をすすめている事例があった。しかし、精神障害のある人たちの在宅勤務の事例は少なく、在宅就業支援団体での訓練をステップとして企業に就労している人たちが多く見られ、また、精神障害のある人たちの在宅勤務の適否については意見が分かれた。この調査で得られた就労への移行に重要なことは、①「就労」に目的を特化していること、②在宅就業から在宅勤務にむけて豊富な研修や訓練の機会が用意されていること、③複数の事業を活用し、確実に段階を踏みスキルアップをしていること、④企業側の不安に対して具体的な対応の方法を提示していることがあげられる。この調査を踏まえ、引き続きヒアリング調査を継続し、支援内容に分析を加え有効な支援方法を明らかにすることが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精神障害者を対象としている在宅就業支援団体(厚生労働省登録団体)及び在宅勤務・在宅就業を支援する団体に対する実地調査と全国の就労移行を目的とした精神障害者を対象とする障害者福祉事業所に対して郵送によるアンケート調査と実地調査を実施した。 在宅就業支援団体にけるテレワーク実施状況と今後の方向性については、現段階での到達点を学術論文としてまとめることが出来た。現在、支援事業所における就労支援活動に関する考察について、論文としてまとめているところである。 在宅勤務制度を導入し、精神障害者を雇用している企業への実地調査および促進要因の分析と支援のあり方の検討については、次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
在宅勤務制度を導入し、精神障害者を雇用している企業への実地調査および促進要因の分析と支援のあり方を検討しまとめていく。独立行政法人高齢者・障害者雇用支援機構に掲載されている事例集や文献から収集した事例を補助的資料としながら 1.企業の経営方針や在宅勤務の状況、またフレックスタイム制、始業・終業時間の繰り下げ、裁量労働制などの勤務措置との併用の有無などについて調査する。2.直接支援に関わった支援団体だけでなく、他の支援組織やネットワークの状況等、地域ごとの特色について調査し、在宅勤務制度の導入を促した要因について分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画としては、 1.実地調査に伴う旅費、人件費 2.情報収集等、学会や研究会への参加費 にかかわる経費を主たる研究費として計上する。
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Research Products
(3 results)