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2013 Fiscal Year Research-status Report

多文化共生地域福祉論の構築

Research Project

Project/Area Number 23653161
Research InstitutionKinjo Gakuin University

Principal Investigator

朝倉 美江  金城学院大学, 人間科学部, 教授 (00310269)

Keywords多文化地域福祉 / 多文化ソーシャルワーク
Research Abstract

「多文化共生地域福祉論」という福祉国家の枠組みを超えた地域福祉の理論を構築することを目的に国境を越えて移住する人たちに焦点をあてて調査研究を行ってきた。
中でも80年代後半から急増した日系ブラジル人の実態を明らかにするために2011年、2012年にはブラジルでの日系人の実態調査を行ってきたが、その結果を踏まえ、さらに日系人の歴史のあるハワイの日系人についてその実態と課題を調査してきた。
ハワイでは日系2世、3世の方の移住の経緯と現状をインタビュー調査によって明らかにしてきた。ハワイの日系人の歴史のなかでは第二次世界大戦の真珠湾攻撃当時の日系人のおかれた状況の厳しさを改めて実感させられた。国境を越えた生活を維持するためにはいかに平和が重要であるかを再確認させられた。また初期の移住はブラジルの日系人と同様に苛酷な農園労働であった。
ハワイの日系人コミュニティの現状もインタビュー調査等によって行ったが、ブラジル以上に日系人コミュニティは崩壊しつつあることが明らかであった。とはいえ日系人の文化センターの運営などによって日本とのつながりや日系人としてのアイデンティティの保持を図る努力が行われていた。
ハワイの日系人はアメリカとの関連も強く、移住は二国間というよりは複数国にまたがるまさにグローバルな視点での移住支援方法・システムの構築が必要不可欠である。移民社会であるハワイでは多文化ソーシャルワークが重視されていた。
以上の内容を踏まえて多文化地域福祉論を考察しつつある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

日系ブラジル人の移住は「家族戦略」によって家族の生活を維持するために国境を越えて移動する生活をしている。そのような流動的な移民の生活を支援することが求められるという仮説のもとにブラジルとハワイでの移民の実態調査を行ってきた。
中でもブラジルでは、多くの日系人が「家族戦略」によって移住を行っており、まさにトランスナショナルな移住が展開されていた。しかしその生活は不安定であり、家族内では解決できない多くの深刻な課題があることを明らかにできた。なかでも移住第二世代である子どもの問題と移民の高齢化の問題である。それらの問題をいかに解決していくかは調査データをさらに分析して明らかにしていきたい。
またブラジルでは、日系人への支援が日系人当事者組織によって多様に展開されていた。組織の歴史や現状・課題も明らかにすることができた。そのような当事者の支援団体・組織の果たす役割は移民支援としてとても重要であった。
しかし日本においてはそのような組織・機関が全国的なものとして明確に位置づけられていない現状にある。日本における移民支援の具体的な方法については今後日本の移民の実態と移民支援の実態を明らかにしていくなかで、明らかにしていきたい。
またハワイで展開されているような多文化ソーシャルワークの方法も今後日本においても重要なものとなると思われる。移民支援の専門性についても今後さらに研究を進めていき、明らかにしたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

「多文化共生地域福祉論の構築」という研究テーマに添って、まずは移民の生活実態と課題を明らかにすることに焦点をあてて、ブラジル、ハワイ調査を行ってきた。いずれも多文化社会、移民社会というなかで、多様な移民を受け入れてきた歴史のある国である。一方日本は未だ統合的な移民政策はないと言われ、移民支援に関しては後進国であるといえる。
そのようななかでグローバル化のもと移民は増加傾向にあり、人口減少社会、労働力不足の状況のなかでは移民の存在はますます大きくなることが予測される。
中でも「外国人研修・実習制度」とともに日系ブラジル人を典型とする「デカセギ」労働者問題が大きな課題となると思われる。超高齢社会に向かっては介護労働者等の移住も現実的に推進される見通しである。
そのような状況を踏まえて、今後は日本の移民政策の動向と移民の支援の実態を明らかにしていきたい。
具体的には、移住労働者の多い岐阜県の美濃加茂市等東海地方を中心に移民支援団体の活動実態と課題、さらにその支援方法についても詳細に調査を進め、移民支援の具体的な方法論を中心に研究を行っていきたいと考えている。また自治体の多文化共生推進政策についても調査研究を行っていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

日本から帰国した日系人の実態とその支援内容について2011年度、2012年度にブラジルで調査を実施した。そのうえで日系人の歴史が長く、多文化社会となっているハワイの日系人の調査を2013年度に行った。ハワイ調査については当初連携研究者とともに行う予定であったが、調査対象と連携研究者との日程調整ができなかったことから一人で行くことになり、未使用額が生じた。
そのため未使用額については、今年度はブラジルとハワイでの調査結果を踏まえて日本での最近の日系人の実態と支援内容等について補足調査を行う経費にあてることにしたい。具体的には日系人集住都市である東海地方の地域を中心に日系ブラジル人の現状と支援の実態につきてヒアリング調査を行う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 移民の生活問題の現状と課題2013

    • Author(s)
      朝倉美江
    • Journal Title

      金城学院大学論集

      Volume: 10 Pages: 16   31

  • [Book] 園田保健社会学の形成と展開2013

    • Author(s)
      朝倉美江、山手茂、米林喜男他
    • Total Pages
      92-119(総頁300)
    • Publisher
      東信堂

URL: 

Published: 2015-05-28  

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