2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653161
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
朝倉 美江 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (00310269)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 多文化地域福祉 / 多文化ソーシャルワーク / 移民 / 日系ブラジル人 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル化のもと国境を越えて移動する移民に焦点をあて、移民の生活実態とその支援方法を明らかにすることを目的として行ってきた。中でも1980年代後半から急増した日系ブラジル人の生活課題とその解決方法を明らかにするために日本で生活する日系ブラジル人とブラジルに帰国した日系ブラジル人の生活実態を明らかにしてきた。 日系ブラジル人はブラジル帰国後もその生活は不安定で、ブラジル社会に再適応するのが困難な実態が明らかであった。そして日本に定住する日系ブラジル人もその生活は不安定であり、なかでも移民2世の問題や老後の問題などは深刻な課題となりつつある。 移民の生活を安定化させるためには「家族戦略」は一定程度有効であるといえる。しかし、それだけでは乗り越えられない就労支援や子育て・教育を含む生活支援はブラジルでも日本でもNPOなどによって行われていた。ブラジルでは日系移民社会が日本から帰国した日系ブラジル人の支援を行っていたが、政府の支援も行われていた。その一方日本における日系社会の力は脆弱であり、当事者組織が支援を担うまでには発展していない。日本では総合的な移民政策が不十分ななか外国人集住都市や日本語ボランティアなどのNPOが支援活動を行っているが、その活動は地域差が大きい。 したがって、日本における移民支援を行うためには、移民の当事者組織をエンパワーするための多文化地域福祉政策や多文化ソーシャルワークの実践が求められる。
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