2011 Fiscal Year Research-status Report
「人を罰する動機」の規定要因と影響に関する法心理学的研究
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23653170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 政博 関西大学, 社会学部, 准教授 (60377140)
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 助教 (60509850)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 公正信念 / 道徳性判断 / 法と心理学 / 社会的認知 / 懲罰動機 |
Research Abstract |
1. 判例プロジェクトでは、懲罰動機が典型的に問題となる、刑事裁判の事案とその判決内容に関する調査を行った。これをもとに実験題材の開発を続ける。2.刑事事件プロジェクトでは、事案シナリオを用いた実験研究を行った。行為の違法性や結果の重大性に加えて、被告の道徳性を操作した実験を行い、被告に対する評価を顕在指標および潜在指標によって測定した。また、潜在指標への反応時における脳波を測定し、事象関連電位を分析した。結果は、顕在および潜在指標において予測された結果が明確にみられず、測定方法の改善の必要性を示した。ただし、事象関連電位の測定方法と実験手続き全般については、想定した方法の有効性を確認できた。3.道徳性に加えて、被告の人間性が量刑判断に与える影響を検討するための実験を行った。結果は、被告の非人間性の影響を示唆するもので、実験題材のさらなる精緻化によって、意義深い結果がられる可能性を示した。4.懲罰動機に関するこれまでの研究成果について報告するため、米・ニューヨーク大学およびプリンストン大学を訪問し討論を行った。本研究で継続して検討すべき課題を明確化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動実験および脳波測定の方法を確認することができ、初年度の実験としてはおおむね順調である。また人間性評価の影響を調べる実験では、有効な結果を見いだせる可能性が示され、今後の研究の進展が見込まれる。さらに、判例プロジェクトも順調な進捗を見せている。海外研究者との共同研究の可能性も具体化しつつある。これらはいずれも、期待された水準を満たすものであり、全体として順調に進展していることを示すといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
・判例プロジェクトでは、研究分担者・藤田を中心に研究を継続する。・刑事実験プロジェクトでは、道徳性情報の影響を調べるための実験刺激をさらに洗練されたものに改善する。脳波測定の実験参加者を増やし、安定した実験データの取得を目指す。・同じく刑事実験プロジェクトで、人間性情報の影響を吟味する実験をさらに進展させる。・プリンストン大学他の研究者との国際共同研究の準備を進める。・研究代表者と分担者、連携研究者の間で理解の共有を図るため、研究会を随時開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・実験研究を本格化させるため、実験制御装置等を購入する。・実験参加者謝礼、および研究補助者への謝金等を支払う。・国際共同研究の相手方との打ち合わせや、これまでの研究成果公表のための海外出張費用を支出する。・研究チーム内の研究会および研究打ち合わせ、そして国内学会における成果公表のための国内旅費を支出する。
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