2013 Fiscal Year Annual Research Report
「人を罰する動機」の規定要因と影響に関する法心理学的研究
Project/Area Number |
23653170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 政博 関西大学, 社会学部, 准教授 (60377140)
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 講師 (60509850)
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Keywords | 法と心理学 / 懲罰動機 / 道徳性認知 / 意図性認知 / 情報処理過程 |
Research Abstract |
刑事犯罪の被告に対する量刑判断が、応報的公正観に基づく「義憤」と功利主義的な判断過程の両者に基づいて行われるという理論モデルの定式化とその検証を中心に研究を行った。また、被告の道徳性をはじめとする属人情報が量刑に影響を及ぼす過程についても検討を行った。実験結果は、応報-対-功利主義の二重過程が、犯罪行為の犯罪性などの要因によって、直観的-対-熟慮的過程のいずれが駆動されるかの違いを生み、これが量刑判断に異なる経路として作用する可能性を示唆した。また別の一連の実験的研究では、被告の非人間性も属人情報として作用し、より重い量刑判断を導くことを示した。 さらに、道徳判断の基礎をなすと考えられる直観的-対-熟慮的過程の区別を、記憶実験のパラダイムを用いて分離する可能性についても実験的検討を行った。刺激題材や実験パラダイムの開発に成功を収め、今後の発展的研究に役立てるための基礎を築くことができた。 加えて、司法的判断における懲罰だけでなく、集団間関係における譴責と赦免といった分野に本研究の枠組みを適用する可能性についても、重要な手がかりとなる知見を得た。
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Research Products
(20 results)