2012 Fiscal Year Annual Research Report
「莫高窟」を発掘する-オンラインコミュニティで「社会知」は醸成されたか
Project/Area Number |
23653177
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三浦 麻子 関西学院大学, 文学部, 教授 (30273569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森尾 博昭 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80361559)
折田 明子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任講師 (20338239)
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Keywords | オンラインコミュニティ / 社会知 / アーカイバルデータ / ダイナミズム / 社会的距離 / 名乗り |
Research Abstract |
本研究の目的は,インターネットにおける匿名性の高いオンライン・コミュニケーションの集積を「社会知」という観点から捉え,ある電子コミュニティ(参加者の識別やレスポンスの対応関係によるコミュニケーションの構造の同定が可能)の掲示板への投稿ログのアーカイバルデータを多面的に分析することを通じて,コミュニティ利用者によるコミュニケーションの集積から「社会知」が醸成される過程とその所産をつぶさに明らかにすることである. 具体的には,このアーカイバルデータを異なる3つの視点(「ダイナミズム」「社会的距離」「名乗り」)をもつ研究プロジェクトを立ち上げて多面的に分析することによって,オンラインコミュニティにおけるコミュニケーションの集積がどのように「案外ためになる」情報となりえたのか,その醸成過程と所産を明らかにすることを目指した. 「ダイナミズム」プロジェクトでは,分析対象とするフォーラムを「心理学フォーラム」に絞り,コミュニケーションの態様を質的分析も含めたアプローチによって描き出すことを試みた.より専門家向けの内容の会議室と一般向けの内容の会議室では,投稿数・投稿者数の全体的な変化による影響が異なり,利用者の質的差異がコミュニティで醸成される社会知の質に影響していた可能性が示唆された. 「社会的距離」プロジェクトでは,フォーラムにおける書き込みと応答のコミュニケーションをネットワーク分析によって視覚化したところ,ネットワーク指標に応じてコミュニケーション構造が質的に異なることが明らかとなった. 「名乗り」プロジェクトでは,フォーラム参加者の名乗りについて,その種類(実名、ハンドル、ID)と名前の変更について探索的に分析を行った.ID登録によって利用者への到達性とリンク可能性を確保しつつ,利用者同士では名乗りの自由度を許しているゆえに,コミュニティごとに名乗りの傾向が違うことが示された.
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Research Products
(5 results)