2011 Fiscal Year Annual Research Report
親子を対象にした美術表現を促すワークショップ・プログラムの開発とその効果の検討
Project/Area Number |
23653181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 猛 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70281061)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 学習過程 / ミュージアム学習 / 創造性 |
Research Abstract |
当初の計画の通り、本研究では、東京都現代美術館の学芸員や、現代美術家らと協働で、親子を対象にした美術表現を促すワークショップ・プログラムをデザイン・実践し、その効果を複数の角度から検討した。 実践に先駆け、共同研究者と複数回にわたって議論を重ね、さらに既存のワークショップに対するフィールドワークを行った。それらを通じ、その場での楽しい体験を提供するだけではなく、家庭や日常での活動にも活かされ得るような働きかけが可能なプログラムを構築していった。 美術館を通じて参加希望者を募り、2011年11月末から3回にわたってプログラムを実施した。参加者は最大で17組であった。第1回目は学芸員がファシリテーターとなって、作品鑑賞から自らの表現へとつなげるようなワークショップを実施した。続く第2、3回目では、美術家によって、アートの多様なレパートリーを示しながら、音や形のイメージを出発点とした表現を体験させる実践が行われた。 プログラムの効果を検証するために、多様なデータを収集した。具体的には、ワークショップ中の会話記録、各回の感想を尋ねるアンケート、家での活動や会話を報告してもらう調査、アートに対する認識の変化を捉えるための調査、鑑賞に関わるテストなどである。分析はまだ途中段階であるが、アンケート結果からは、1)多くの親子が、アートや表現への興味を高めていたこと、2)家庭でもワークショップに関連した会話がなされ、活動が展開していたこと、3)子どもの表現への働きかけ方について、ヒントを得ていた親が多くいたこと、4)多くの親子が、日常をより注意深く眺め、そこからイメージを膨らませたりするようになっていたこと、などが示唆されている。本研究の知見は、ミュージアムが親子に対して行う効果的な教育普及プログラムを、その実証的な効果の裏付けとともに示し得るとともに、新しい評価の方法論を提示することも可能だと考えられる。
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