2011 Fiscal Year Research-status Report
学力の性差及び認知機能等の性差と男女別学教育モデルの検討
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23653183
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福田 幸男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00111641)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 学力 / 性差 / 男女別学教育 |
Research Abstract |
23年度の研究目的は以下の2点に集約される。(1)「全国学力・学習状況調査」の「学力調査のデータ」に基づき、2教科2科目において認められる児童・生徒の「学力の性差」をより詳細に分析する。さらに、「学習状況調査のデータ」に基づき、その「学力の性差」を規定すると想定される「学習環境や習慣」や小学校6年から中学校3年にわたる「発達的変化」を分析する。(2)児童・生徒に認められる「学力の性差」を踏まえた学習指導のあり方を、アメリカにおける「男女別学教育」の実践例等をベースにモデル化する。 (1)については、国語及び算数(数学)の「A問題」及び「B問題」の正答率を学力の指標として、各教科の「領域」・「観点」を考慮しながら分析を行った。その結果、特に小学校の国語において、A問題、B問題さらには「領域」・「観点」を問わず、「学力の性差」が顕著であること、また、その差は中学校に入ってもなお持続すること、さらには、「国語の学力」が算数・数学のB問題の正答率にも関与することを確認した。 (2)については、第7回NASSPE(平成23年10月8~9日、Orlando, Florida, USA)に出席し、Florida州やSouth Carolina州の公立校における先進的な取り組みを調査するとともに、全米の他の州やオーストラリアなどの取り組みの情報収集も行い、「男女別学教育」の展開による成果と諸課題を取りまとめた。 加えて、次年度の検討課題である「男女別学教育モデル」の提唱に向けて、首都圏の3公立小学校で基礎調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の(1)については、ほぼ当初計画通りの成果を上げることができたが、なお、「学力の性差」の構造に関して、学習環境や発達的変化を十分に考慮した詳細な分析が必要である。(2)については、NASSPE(The National Association for Single Sex Public Education)を中核として、多彩な実践報告を収集し、成果と諸課題を取りまとめることができたが、一方で、その活動の背景にある「アメリカの公教育の現状と在り方」にも言及する必要があることも指摘される。日本おける実践モデルの提唱にあたり、「学力の性差」のみならず、社会文化的要因、特に日米の教育に関わる諸要因を考慮する必要がある。これらを、一部次年度に持ち越すことから、今年度の達成度を(2)と区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の分析に加えて、学習環境や発達的変化を加味した「学力における性差」の構造をさらに詳細に記述する。また、「男女別学教育」のこれまでの成果、特にアメリカでの成果を踏まえながら、公立小学校における学習指導の在り方を検討し、「学力の性差」に応じられる指導実践モデルを提唱する。その際に、日本の公教育の実情に十分配慮したモデルを提唱する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「学力の性差」を踏まえた指導の実践モデルを提唱するために、公立小学校での授業観察や教師へのインタビューを実施する。その経費及び成果報告書作成等の経費を計上している。
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