2012 Fiscal Year Annual Research Report
学力の性差及び認知機能等の性差と男女別学教育モデルの検討
Project/Area Number |
23653183
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福田 幸男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00111641)
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Keywords | 学力 / 男女別学教育 / 性差 / 学力調査 / 認知機能 |
Research Abstract |
最終年は、二つの研究を実施した。その第一は、「性差の学力層別分析」である。全国学力調査における性差を平均正答率でみるだけでは不十分であり、その再分析を行なった。小学校の算数においては、4階層に分けた学力の最上位層で男子児童の比率が高く、次の層では女子児童の比率が高い結果を得た。また、最下位層は男子児童の比率が高い結果を得た。学力層の分布には性差があり、その性差を踏まえながら学力層別の指導法が必要であることが示唆された。 第二は、「アメリカの公立学校における男女別学教育」を日本の公立学校で展開する可能性を探ることである。前年度のアメリカにおける実態調査に基づくと、日本の公立学校で同様のモデル事業を直ちに立ち上げることは難しく、新たな日本モデルを提唱するための研究を展開した。主に公立小学校の共学クラスにおける、教師=児童関係を、それぞれの性を基軸にして分析を深め、日本モデルの構築への足掛かりとした。 第1の調査「学級雰囲気と学習動機づけに及ぼす教師・児童の影響―教師の性・教職歴・指導様式と児童の学年・性の差異―」では、「学級雰囲気」が、児童の学年や性別、教師の違いによって捉え方が異なる結果を得た。第2の調査「教師の指導が学級集団に与える影響-AD理論を用いて-」では、教師の指導様式について詳細な分析を進め、指導様式が「学級雰囲気」を規定する一方で、「学級雰囲気」に関して性差や学年差が認められ、受け止め方が一様でない結果を得た。 両調査ともに首都圏の公立小学校の共学クラスをベースとしているが、在籍する児童の性別によって、教師の指導様式(指導法)の受け止め方が異なり、さらに教師の性別からも影響を受けることがわかった。今後、日本における男女別学クラスの授業をデザインする際には、性差(認知機能に代表される)を含め、児童生徒及び教師の様々な特性を事前に十分に考慮する必要があると結論づけられる。
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Research Products
(1 results)