2013 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症の異文化比較:母親質問への子どもの応答とナラティブ発達の関連から
Project/Area Number |
23653184
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70116911)
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Keywords | 自閉症 / 異文化比較 / 多言語 |
Research Abstract |
日本語語彙は5歳2か月時点の平均よりやや低い状態から7歳3か月の平均よりやや高い状態に変化した。中国語語彙は3年間を通じ比較的よい状態で順調に成長した。英語語彙は年齢標準より1SD下回るものの適度なペースで発達した。文法では英語については5,6歳では低得点、7歳では平均をやや下回るレベルとキャッチアップした。日本語は3年間を通じ低いが、Bの反応はまだらで実際に理解できた文法表現は増加していた。 母親の子供向け発話の50-60パーセントは中国語であった。2ないし3言語を同時に使うのは子供向け発話全体の25-35パーセントであった。6歳、7歳時点では日本語が優位となった。CS(コードスイッチ) とCM(コードミクス)は11種類に分類できた:教育目的と強調のための同一メッセージの複数言語表現;話し手間の共通理解;各言語に固有な表現;子どもの理解を得るための単純/既知の表現;もっとも得意な言語の選択;注意獲得;会話者の変更;話題の変更;相手の選択言語への同調;モデリング;その他。CSとCMは5歳時点に比べ7歳時点は低下していた。CSが半分になったのに比べCM(文内)に大きな変化はなかった。 CS/CMによって母親がBと父親の会話の促進者となっていた。 母親のCSとCMは3言語環境への適応として理解できる。それらは母親の言語能力、子どもに言葉を知らせようとする教育的な目的、自然な家族内コミュニケーションの維持の影響を受けていた。意図的であるかないかにかかわらずCSとCMはBの伝達能力向上に積極的に関与した可能性がある。第一に、Bも3言語を使うよう動機づけ、第二にCSとCMによって母親がBに社会的スキルを教え、第三にBは母親の意図的なCS,CMから語彙知識を得た。
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Research Products
(2 results)