2011 Fiscal Year Research-status Report
科学的・合理的な学生相談手法を確立するための情報科学的研究
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23653186
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
犬塚 信博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221780)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 学生相談 / オントロジー / データベース / 知識発見 |
Research Abstract |
学生相談の社会的・教育的観点での重要性に鑑み、学生相談の効果的実施方法を探り、そのための知見を引き出すための情報科学的手法の開発を進めてきた。代表者らは実践として、所属大学の学生相談などで利用する学生相談記録システムの構築をすでに手掛けている。ここでの経験を生かし、情報工学的技術を活用するための要素的技術開発が23年度の実施内容である。研究対象の技術は記録システムはすでに実用化している相談記録システムの扱う記録の構造に基づき、より高度な分析を行うためのものである。23年度中、学生相談に関して知識表現の観点からの形式化を、データ構造、オントロジーの観点から検討した。データの表現に関しては次の検討を行った。相談事例を繰り返されるセッションの集まりからなる点と、相談事例に含まれる関係する人物の集まり関連する点に注目し、これを形式化した。相談者の所属、学年や相談の種別などの詳細を捨象し、相談の大まかな構造をデータの構造の点で検討し、データベースのスキーマとして与えている。これらについてはデータベースに実装し、模擬的データでその可能性を検討した。またオントロジーの観点から相談に関する検討を行った。オントロジーは概念を明示的に分類する技術であり、これを与えることで詳細な分析が可能となる。相談に含まれる人間関係に注目し、これを扱うための概念のオントロジー分析を行った。相談に必要な人間関係を、人物を位置づける客観的な関係と、心理的関係などの主観的関係に分析し、これらのそれぞれを詳細に分類する枠組みを与えた。これらの項目によって学生相談を情報科学的観点から扱う手法を与え、詳細な情報分析を行うための基礎を与えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度中、学生相談に関する事例の収集・整備、事例表現形式の設計、データベースの設計、事例検索技術の開発、周辺知識の整備を行うことを計画した。これらの5項目の内、4項目は十分に進展があり、周辺知識の整備に関して進められていないためこの達成度とした。表現におけるオントロジー手法による研究が特に新手インしている。この手法がよく適していることが判明し、研究計画段階では予定していなかった進展があった。本研究の主目的は、学生相談に関する人工知能・知識発見の観点からの研究の枠組みを開発し、相談分野での知識の分析に利用可能なことを示してゆくことである。この点で2年目のデータ分析研究のための準備を1年目に整備することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、整備してきた相談事例表現に関する研究をより一層進めるとともに、これ基づいたデータ分析について研究を進める。このため、相談に関する表現手法をシステムとしての構築方法、相談に関する知識分析手法について進める。後者について社会ネットワーク分析、帰納学習法、特に帰納論理プログラミングの方法を中心に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画に従って使用する。23年度においては事例等の整理のために謝金を計上したが、オントロジー等の理論的枠組みに進展があったためこの整備を優先することとし、この謝金を使用しなかった。24年度研究においては、23年度研究未使用額を含めて、物品費としてシステム構築用計算機、関連図書等、また情報収集と研究成果発表に国内外の旅費を利用する。システム構築とデータ分析の補助として謝金を利用する。その他成果発表等のための学会参加費として使用する。
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