2011 Fiscal Year Research-status Report
二者同時計測によるインタラクティブなニューロフィードバックシステムの提案
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23653196
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大村 一史 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90431634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / セルフコントロール / 実験系心理学 |
Research Abstract |
平成23年度は、二者同時計測のニューロフィードバックシステムの構築を中心に取り組んだ。無線技術によるモバイル計測に適した生体アンプをベースに、θ/βトレーニングを用い、ターゲットとしたθ/βの比率を下回った脳波状態の場合に、その時間に応じて学習者に得点が加算される報酬型のフィードバックを与えるソフトウェアを作成した。指導者用のプライマリモニタ1台と学習者用のセカンダリモニタ1台を用意し、それぞれに専用のモニタリング画面(プライマリモニタ:指導者用)とフィードバック画面(セカンダリモニタ:学習者用)を提示する方法を採用した。これにより、二人の学習者は同時にセカンダリモニタを使用することになるものの、二者同時計測によるニューロフィードバックが可能な基本システムを構築することができた。今後は、二者の脳活動をそれぞれ独立にフィードバックするように学習者用のモニタを1台増やし、指導者1台、学習者2台のシステムへと改良する。またハードウェアの改善だけにとどまらず、二者間の脳波の関連を解析し、それらを利用したフィードバック情報を提供することで、脳活動の相乗効果を高めることが可能なソフトウェアの開発を予定している。 構築したシステムの信頼性・妥当性を検証するために、被験者2名を対象として試験的運用を行った。2名の学習者に対して、ソフトウェアが適切なフィードバックを与えることが確認された。さらに、多チャンネル脳波計を利用した安静時脳活動や事象関連電位を指標として導入し、実行機能測定課題などを利用して、心理・生理の両面からトレーニング効果を評価できる方法を検討中である。今後は、安全性、ユーザビリティなどを慎重に評価しながら、システムの改善を重ね、トレーニングとその評価を適切に運用し、心理-脳神経プロファイルを統合した評価・介入システムへと昇華させていくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度初頭から中期にかけては、昨年末の東日本大震災による建物修繕工事やシールドルームの破損による修復工事などの予期せぬアクシデントに見舞われたが、モバイル計測用の生体アンプを使用していることと、初年度である平成23年度はシステムの構築を中心に作業していたため、予定していた到達目標の段階まではたどり着くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ハードウェアの面では、二者の脳活動をそれぞれ独立にフィードバックするように学習者用のモニタを1台増やし、指導者1台、学習者2台のシステムへと改良する。ソフトウェアの面では、二者間の脳波の関連を解析し、それらを利用したフィードバック情報を提供することで、脳活動の相乗効果を高めていくことが可能となるようにプログラムを作成する。さらに実際の運用場面での安全性、ユーザビリティなどを慎重に評価しながら、システムの改善を試行錯誤していく。引き続き、多チャンネル脳波計を利用した安静時脳活動や事象関連電位をトレーニング効果の指標として有効に利用する方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に構築したシステムをさらに使いやすいものにするため、まず学習者用のモニタを1台増やし、指導者1台、学習者2台のマルチモニタ環境を実現するために、映像-音声機器の充実を図る。特に、学習者のユーザビリティ向上を目的とし、有線でのフィードバック情報のディスプレイ表示ではなく、無線を用いてタブレットに情報を表示する方法を可能にするための有効な機器を慎重に選定し購入する。この他、構築したシステムの妥当性・信頼性評価のために被験者数名をリクルートするための謝金、システム改善のための研究打合せ旅費や、研究成果を発表するための学会旅費などに充てる予定である。
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