2011 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待への包括的地域型支援モデルの構築と療育センターの必要性
Project/Area Number |
23653203
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹森 元彦 香川大学, 教育学研究科(研究院), 助教授 (50304564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地域援助 |
Research Abstract |
本研究の目的は、児童虐待の解決策として、通告義務が法律化されたにも関わらず、被虐待児を受け入れる児童養護施設に入所させることは「親子分離を」を進める一方で、親子関係の病理の治療・客体関係の連鎖が解消されず、帰る家のない入所が継続する。また、不安定な児童同士の相互作用によって、問題行動が頻発して養護機能の低下に至る。さらに、児童養護施設内の専門家間の問題として、児童指導員と心理療法士との機能的連携の困難さなど、現在の児童養護施設や社会的養護モデルには深刻な構造的な問題があると考える。 児童養護施設での治療から家族ケアへとつなぐような「包括的な地域型支援モデル」を開発することが必要である。そのために、全国の児童養護施設に対して現状や新たな社会的養護の方向性についての意識調査をアンケートによって行うことで現状を明らかにすることが本年度の研究の目的である。 そのために、本年度は、全国の児童養護施設へと送付するアンケートの内容を十分に吟味してアンケートを作成した。アンケートは、児童養護施設施設長、主任指導員、心理療法担当者3者へ行うことで、それぞれの視点からみた入所児の問題や施設の課題、本研究で示す新しい社会的養護のモデルへの意見をきくような内容となっている。 また、全国の児童養護施設へと送付する封筒や郵送先ラベル、切手などの貼り、それらを発送できる段階にある。アンケートは、施設側が返信する余裕のある時期に送付する予定である。 また、児童養護施設や地域社会における子育て、社会的養護に関する図書を幅広く購入した。日本人間性心理学会第30回大会においては、本研究についての学会発表を行って、関係者と多様な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の児童養護施設へのアンケート調査を行って、その結果を分析することが本年の目的であるが、アンケート内容の作成、アンケートの発送のための準備は整ったが、児童養護施設は4月5月は、忙しく十分な対応ができないとの意見をいただいており、6月をめどに郵送を行い、1か月の間をおいて、アンケートの回収を依頼する予定である。さらに、アンケートの結果の分析のための時間も必要である。次年度においては、そのアンケートの結果分析を踏まえて、四国の児童養護施設を直接に訪れて、より具体的な課題についてインタビュー調査をする予定である。全体的にやや遅れている現状にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の収支状況に関しては、予定通りである。今後、全国の児童養護施設へのアンケートの送付とその回収、さらに分析を行うことが必要である。 アンケートの結果の分析を十分に行った上で、すでに依頼している児童養護施設へと直接に訪問をして、インタビューを行い、アンケートではとらえられない部分について現場の声から、課題をさらに分析して、新しい社会的養護のモデルとその中での療育センターの必要性について考察したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全国の児童養護施設へアンケート調査を送付した後、回収された結果を分析するために、大学院生などのアルバイトを雇用し、パソコンにデータを入力させ、統計ソフトによる分析を行いたい。あわせてアンケートの自由記述覧の分析を行い、それらを含めての総合的な考察をして、その後のインタビュー調査を行うための課題や視点について明らかにしたい。 そのような分析をおこないながら、現状認識をしっかりと行い、虐待の連載の解消に向けた地域を包括した先進的なモデルについての視点と具体的な課題を明らかにしたい。 そのために、学会に参加して児童養護施設の現状や新たな社会的養護モデルについての研究について関係研究者や現場の方と交流をして研究や分析のための参考としたい。 次年度は、2年間のまとめとして研究成果についての報告書を作り、児童虐待の解消に向けた包括的地域型支援モデルの構築と、療育センターの必要性について論じたい。
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