2011 Fiscal Year Research-status Report
社会的条件不利にとりくむ学校メンタルヘルスマネジメントの研究
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23653206
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
弘田 洋二 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (60285278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 肇 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60432580)
柏木 宏 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (90364017)
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 准教授 (00434613)
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80182393)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / USA |
Research Abstract |
在日朝鮮人、アジアからのニューカマーおよび日本人低所得者層の集住地域にある保育園の園長(研究協力者)から、子どもの発達保障にかかわる相談の留意点について研究会活動を通して情報提供を受けた。「多文化共生とカウンセリングの役割」をテーマとする研究会(年5回開催)で、そこでは相談関係の調整上の工夫を論議してきた。 それをベースに、児童養護施設ではたらく心理職員と条件不利地域に勤務するスクールカウセラーを抽出して、それぞれFGI(Focused Group Interview)による聞き取り調査を実施した(2011年12月、1012年3月)。心理の専門職が、その臨床活動においてどの程度「社会的条件不利」の問題に出会うのか、それをどのように扱い、対応しているかを探る目的であった。ここでは、相談者との関係性よりも、相談外の外部環境との連携が重点的に語られるところであった。 本研究課題の「社会的条件不利」は、個人の変容をめざす心理療法家の活動においてはどのように対応されているのかそもそも疑問だったのであるが、調査対象となった人々はおおむねそのことを承知しながら、条件不利の問題に無関心であるわけではなかった。むしろ、相談場面では子どもたちがあまり自らの条件不利に触れないという経験を語り、むしろ外部環境とそのことについて把握する必要があるとしていた。 親との関係では、子どもの発達促進的な環境をめぐる複雑な関係があるので、親の生活背景や文化的要因の理解が必要であるが、親が関係しない子どもとの関係では、そのことを直接話題にすることなく、環境調整的な働きかけがとられているとまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は、「社会的条件不利」という問題が、保育や学校など養育と教育の現場で相談活動を行う心理の専門家にどのようにとらえられ、取り組まれているか、その現状と課題をピックアップすることであった。定期的な研究会と聞き取り調査において、一定の目的を果たせた。
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Strategy for Future Research Activity |
多文化コンピーテントな支援プログラム開発の先進国である米国において、また家庭の養育条件が日本以上に悪いという条件下で、学校は子どものメンタルヘルスの問題にもっとも先に反応すべき場所と位置付けられている。モデル的、先進事例について調査し、日米比較を行う(米国調査)。 日本では、心理の専門家以外の学と校教師、スクールケースワーカーおよびその情報に基づく子どもと心理士の関係について調査し、今年度調査を補足する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
いずれも、「専門的知識・情報の提供」を受けるものであり、謝金と旅費(海外渡航)が中心である。
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