2011 Fiscal Year Research-status Report
外国人看護師・介護士の国内医療施設就労に向けた健康心理学的支援法の探索
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23653213
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
山田 冨美雄 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (50183687)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 外国人看護師 / フィリピン / インドネシア / ベトナム / ストレスマネジメント / ストレスドック / メンタルヘルス |
Research Abstract |
2011年度に語学研修を受け入れたインドネシア人看護師候補ならびに介護士候補を対象として、メンタルヘルスの事前チェックとして、ストレッサ、ストレス反応、身体症状、ならびに対処行動の各尺度を用いたストレスドックを実施した。すなわち、インドネシア人看護師候補47名(大阪)と70名(愛知)、ならびに介護士候補57名(横浜)の計174名が対象となった。語学研修受入施設でのストレスチェック実施から約1月後に、本人に対して結果を返却するとともに、ストレスマネジメントの観点から、必要とすべき知識とスキルについて指導を行った。また、メンタルヘルス研修を実施し、ストレスマネジメントスキルの紹介として、リラクセーション指導を行った。 半年間の語学研修終了後、看護師候補ならびに介護士候補たちと、メールならびにSNS(Facebook)を用いた連絡網の作成を試み、大阪研修所出身者47名中約半数と継続的に連絡をとりあう関係が築けた。2月の看護師国家試験での合格者は0人であった。現在連絡がとれる30名弱の看護師候補を対象として、国家試験対策と看護助手として働いている施設での状況について予備調査を兼ねた個別対応を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
看護師候補受入病院・施設の所在等、2008年度~2010年度の日本国内での語学研修受講生を対象とした振り返り調査対象者に対する連絡ができない状況である。これはプライバシー保護が理由とみられ、AOTSはじめ語学研修団体が情報開示に消極的であるためである。したがって、これまでの看護師・介護士候補ではなく、2011年度研修生のみを対象とした前向き縦断調査を試みることにした。 こういった状況から、語学研修終了後のフォローアップ調査の実現をめざして、SNS(facebookとe-mail)を利用して研修生と連絡を保っている。 また、研修前の状況を把握、ならびに帰国者との面談をするための現地視察は2011年度はあきらめた。理由は、東日本大震災に関する実践・調査活動により時間がとれなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
看護師・介護士候補として来日し、現在病院等施設で看護助手として就労している研修生を対象とした聞き取り調査をまず第一に実施することを計画している。 次に、今年度来日予定のフィリピン人看護師・介護士候補(あるいはベトナム人看護師・介護士候補)を対象として、現地での研修施設の事前見学、ならびに研修生候補者との面接を実施したいと考えている。 さらに、2010年度以前に入国し、国家試験に合格した看護師、介護士数名と連絡をとり、面接による聴き取り調査などを実施し、今後の国家試験受験に対する効果的な対処法、勉強法などを冊子としてまとめ、研修生全員に周知する術を模索する予定である。 最後に、2011年度語学研修を受講し、施設で就労中の看護師候補について、SNSを用いて連絡をとりあい、第一回就労中調査を実施する予定である。また、国内の病院・施設を訪問して研修生と面接し、現状の把握を行う予定である。 なお今年度以降、インドネシア・フィリピンに加えて、ベトナムも対象国となることから、ベトナム人対象のストレスドックならびにストレスマネジメントテキストの制作おこなうことも計画中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の語学研修生を対象として、ストレスドックを実施するための経費、結果のフィードバックおよびフォローアップのための経費、メンタルヘルス研修後の個別指導経費を、物品費、旅費、人件費(謝金費)、その他(印刷費)として支出予定である。 また、フィリピンおよびインドネシア(条件が整えばベトナムも)への訪問調査を行うので、海外渡航費、滞在費、通訳への謝金費を計上する。 さらに、2011年度語学研修受講生を対象としたフォローアップ調査のための費用を、物品費、旅費、人件費(謝金費)、その他(印刷費)として支出予定である。 試みとしてだが、外国人看護師・介護士候補のストレス度合いを査定するための手法として、これまでどおり質問紙を用いた主観評価に加えて、他覚的・客観的な手法の導入を検討している。すなわち、唾液をもちいた精神神経内分泌学的指標(コルチゾール、セロトニンなど)の使用を計画にいれているので、検査費用として計上している。
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