2011 Fiscal Year Research-status Report
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23653222
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
下野 孝一 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (70202116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 浩幸 相愛大学, 人文学部, 教授 (90168774)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 触覚 / 触誤定位 / 体位 / 身体像 / 評定法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、われわれが観察した"触誤定位現象"(床に座り、足を少し開いて、上半身を極端に曲げた姿勢で、足で頬を触っても"手"で触っているという感覚が生じる現象)を詳細に調べることにより、自己受容感覚が触定位に及ぼす影響について調べることである。そのためにわれわれは被験者にいくつかの体位をとってもらい、そのときに手あるいは足が体表に触っている感覚の程度を聞く。 われわれは本現象を説明するために、分散拡大仮説を提案し、仮説の妥当性を誤反応と反応時間を指標に実験的に調べる。われわれは、本現象は従来の触誤定位現象と違い、「極端な体位は身体像(体の部位の位置に関する意識)が混乱するためである」という枠組みで説明できると考えている。 本年度は、実験1と2を行った。実験1では22名の被験者(床に足を伸ばし、座った状態で前屈したとき、頭がほぼ床につく程度に体の柔らかい被験者)を使って、評定法で、触誤定位現象が生じるかを調べた。その結果、評定値は低かったけれども、被験者の約85%が触誤定位現象を示した。実験2では10名の被験者の左手と左足に、電気振動刺激を装着し、触誤定位が生じるかを調べた。触誤定位の測度は誤反応と反応時間である。その結果、上半身が曲がっているときには、伸びている場合に比べ、誤反応が多く、つまり、触誤定位が生じたが、反応時間には差がなかった。 この実験結果は次年度の日本心理学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していた実験1に加え、電気振動刺激を使った実験2を行うことができた。実験結果は、概ね予定通りであった。これらの結果は日本心理学会にて発表予定である。また、本実験結果はPerceptionに投稿予定で、現在執筆中である。ただ、執筆中に実験1と2の間の論理的な連続性に若干の問題があったので、実験を加えたほうがいいだろうと考えている。今のところ、体位の変数を増やし、評定の回数を増やすことで問題は解決すると考えている。 以上の点から、研究代表者は、本研究はすばらしく順調とまでは言えないが、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験の目的は、「触誤定位現象は"極端な体位"によって引き起こされている」ことを示すために、上半身の位置、床面の位置を変数として、現象の一般性を調べることである。今後は特に、この現象が外界の座標軸にさほど関係なく、体位が重要な要因であることを示すために、床面の角度を操作する。 実験の手続きは、基本的には23年度の実験とほぼ同じである。被験者は、手が触っているとき「触っている感じ」を、「まったく感じない」から「強く感じる」までの4段階から選んで答えることである。被験者の姿勢は上半身を立てる姿勢と、可能な限り体を折り曲げる姿勢の2種類で、床面は0度、45度と180度である。ここで条件を「可能な限り」としたのは、「もし極端な体位が重要ならば、必ずしも頭が床につく必然性はない」と考えるためである。被験者は30名程度を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には107401円の研究費を使用する。この研究費が生じた理由は、当初参加予定であった知覚コロキウムへの参加を取りやめたためである。この費用は今年度の日本心理学会への参加費として使用予定である。 次年度の交付予定額は70万円である。その内訳は、研究分担者へ7.5万円、物品費として2.5万円(アングル、木板など)、人件費(実験補助者人件費など)として30万円、旅費(Psychonomic Society参加予定)として30万円である。
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Research Products
(5 results)