2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの指先の触知覚に方向性があるのはなぜか?その機構の解明
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23653223
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 拓也 岐阜大学, 工学部, 助教 (50313911)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 実験心理学 / 感覚・知覚 / 触知覚の方向性 |
Research Abstract |
10μm程度のステップ状の微小段差刺激をヒトが指先で触って知覚するとき,その知覚能力に方向性があることが先行研究で明らかになった.指先を横に動かすよりも指の長手方向に動かすほうが微小な刺激を弁別しやすかった.本研究では,このようにヒトの指先の触知覚に方向性があるのはなぜか?その機構を解明することを目指している.そこで,ヒトが微小段差刺激を知覚するとき,触運動の方向により指先の変形の仕方が異なる点に着目し,微小段差弁別時の指先に作用する力を計測して,触運動の方向や速度と,微小段差が指先に与える力の関係を明らかにする.本年度の研究実績を以下にまとめる.1.微小段差弁別時の力を計測可能な微小段差呈示装置を設計・開発した.ステンレス製板を突き合わせたステップ状の数μmの微小な段差を試料とし,試料の刺激強度,呈示速度,呈示方向,呈示温度の4つのパラメータをそれぞれ制御して,被験者に呈示することができて,さらに,このときのステンレス製板に加えられた指の押し付け力や,触運動時に微小段差が指に与える力などを計測可能な微小段差呈示装置を設計・開発した.装置では,力を計測するために6軸力覚センサを用いた.また,呈示試料の刺激強度,呈示速度,呈示方向の3つのパラメータをコンピュータにより制御可能とするため,楔形Zステージ,Xテーブル,回転テーブルなどを用いた.2.開発した力計測可能な微小段差呈示装置の基本性能を評価した.ヒトが微小段差を弁別するとき,微小段差に加えられた指の押し付け力や,触運動時に微小段差が指に与える力などを計測可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小段差弁別時の力を計測可能な微小段差呈示装置を設計・開発した.装置では,ステンレス製板を突き合わせたステップ状の数μmの微小な段差を試料とし,試料の刺激強度,呈示速度,呈示方向,呈示温度の4つのパラメータをそれぞれ制御して,被験者に呈示できるようにした.さらに,ステンレス製板に加えられた指の押し付け力や,触運動時に微小段差が指に与える力などを計測可能な装置とした.本年度,実験装置を開発できたことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
触運動の方向や速度により指先の変形の仕方が異なる点に着目して,微小段差弁別時に指先に加わる力を計測する.心理物理実験では,指と刺激との相対的な運動に対して,段差刺激の強度,移動速度および移動方向の三つのパラメータを制御し,またそのとき指に加わる力を計測して,触運動の方向,速度および指先に加わる力が触感覚認識機構に及ぼす影響を定量的に明らかにする.実験においては,被験者の指に対する段差刺激の移動方向をコンピュータ制御により縦,横,斜めなどの任意の方向に設定して,段差刺激の呈示方向を制御したときの弁別閾と主観的等価値を求める.これにより,触運動に伴う指先の変形と触覚の認識能力との関係を定量的に評価して,触知覚の方向性のメカニズムの解明を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本機械学会,バイオメカニズム学会などの各学会の学術講演会,国際会議において,研究発表・調査を行う予定であり,研究費をその参加費や旅費などに充てる.また,心理物理実験の被験者への謝金などにも充てる.さらに,必要に応じて装置の改良費などにも充てる.
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