2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの指先の触知覚に方向性があるのはなぜか?その機構の解明
Project/Area Number |
23653223
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 拓也 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50313911)
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Keywords | 実験心理学 / 感覚・知覚 / 触知覚の方向性 |
Research Abstract |
10μm程度のステップ状の微小段差刺激をヒトが指先で触って知覚するとき,その知覚能力に方向性があることが先行研究で明らかになった.指先を横に動かすよりも指の長手方向に動かすほうが微小な刺激を弁別しやすかった.本研究では,このようにヒトの指先の触知覚に方向性があるのはなぜか?その機構を解明することを目的とする.そこで,ヒトが微小段差刺激を知覚するとき,触運動の方向により指先の変形の仕方が異なる点に着目し,微小段差弁別時の指先に作用する力を計測して,触運動の方向や速度と,微小段差が指先に与える力の関係を明らかにすることにした. まず,微小段差弁別時の力を計測可能な微小段差呈示装置を開発した.ステンレス製板を突き合わせたステップ状の数μmの微小な段差を試料とし,試料の刺激強度,呈示速度,呈示方向,呈示温度の4つのパラメータをそれぞれ制御して,被験者に呈示し,このときのステンレス製板に加えられた指の押し付け力や,触運動時に微小段差が指に与える力などを計測する微小段差呈示装置を開発した. つぎに,ヒトが微小段差を弁別するときの指先力を測定した.ヒトが微小段差を弁別するとき,微小段差に加えられた指の押し付け力や,触運動時に微小段差が指に与える力などを計測した.実験では,往復運動する段差を右手示指の指腹部で知覚するときの力を測定した.このときの段差量は20,50,100μm,段差の移動速度は30mm/sとした.段差が指腹部の中央を通過したときのせん断方向の力に注目したが,段差量が20μmと50μmのときでは明確な違いは見られなかった.押し付け力に注目すると,段差量が100μmのとき,指先が高い段を触っているときと低い段を触っているときを比較すると,力の最大値に約15gfの差があった.100μm程度の段差では,この違いが段差判別に影響を与える可能性があることがわかった.
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