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2011 Fiscal Year Research-status Report

身体背面部での触覚情報処理に関する心理メカニズムの解明:痴漢事件に関わる基礎研究

Research Project

Project/Area Number 23653231
Research InstitutionKanagawa University

Principal Investigator

大森 馨子  神奈川大学, 経営学部, 非常勤講師 (30533038)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 和氣 洋美  神奈川大学, 人間科学部, 教授 (80122951)
厳島 行雄  日本大学, 文理学部, 教授 (20147698)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords触覚 / 身体接触 / 痴漢 / 身体背面部 / 手 / 感情 / 冤罪 / 記憶
Research Abstract

本研究は,公共交通機関における痴漢に関わる問題を原点とし,視覚との協応が少ない身体背面部の触覚情報がどのように判断されるのか,その心理的メカニズムを解明しようとするものである。本年度は,痴漢被害調査と身体背面部での触判断の正確性について検討を行った。 痴漢被害調査は,大学生を対象に質問紙を用いて行われた。結果,男性の約2%と女性の約30%に痴漢被害経験があり,被害時の対処として,男性や被害経験のない女性は犯人逮捕や抵抗という回答が多かった一方で,被害経験のある女性は逃げるという回答が多かった。この点から,実際の被害場面では消極的な対処しかできなくなる可能性が示唆された。痴漢被害時の感情については,女性は男性よりも消極的・否定的であることが明らかとなった。また,男女とも"この事件にこれ以上関わりたくない"と回答する人が多く,この意識が通報などを遠ざけている可能性も示された。一方,混雑時の交通機関内では,男性の多くが手を置く位置等に配慮しており,痴漢に間違われないようにしなければならない実状も明らかとなった。 身体背面部における触判断の実験では,実験参加者の背中・臀部・手のひらのいずれかに,実験者の手のひら・手の甲・鞄・傘が提示された。刺激提示方法として,刺激自体が動く条件と動きのない条件が設けられた。実験参加者は,提示された刺激は何か,またその回答に対する確信度について報告した。その結果,身体背面部での触判断の正確性および確信度は,手のひらに比べて低下することが明らかとなった。特に,臀部に手のひらや手の甲が提示された場合,その正答率は低く,触覚情報のみでの判断は困難であることが示唆された。さらに,動きの有無によって正答率に差が見られないにも関わらず,確信度は動きがある場合に高まることから,動けばそれが何か分るといった思い込みによって,誤認が増加する可能性も示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究で実施しようとしている具体的計画は,1.痴漢被害の実態調査 2.身体背面部における触弁別の正確性に関する実験的検討 3.身体接触による快・不快感情に関する調査研究 4.閉所等が触判断に与える影響(再現実験) 5.触覚における記憶の実験的検討,の5点であり,これらを3年間で検討していく予定である。 現在までに,はじめの2点 (1.痴漢被害の実態調査 2.身体背面部における触弁別の正確性に関する実験的検討) が終了しており,「3.身体接触による快・不快感情に関する調査研究」も進行中であるため,おおむね順調だと言える。

Strategy for Future Research Activity

今後2年間で,身体接触によって生じる感情や,再現実験,触覚における記憶の検討を実施していく予定である。 身体接触によって生じる感情については,質問紙を用いて調査を行う。質問紙には,身体前面・背面の各部位を列挙し,親密または親密ではない同性または異性によって各部位を触られた場合の快・不快感情を5件法によって測定する。触られる身体部位や調査協力者の性別,触る相手の性別,触る相手との親密度によって,発生する感情が異なるのか検討する。 再現実験については,痴漢事件が生じる状況の特徴である,身動きがとれないほどの混雑状況や,電車やバスといった閉所空間を再現し,それらが触判断に与える影響を検討する。閉所空間や混雑状況を再現するために,組み立て式簡易チャンバーと実験補助者10名程度が必要となるだろう。 触覚に関する記憶の検討では,痴漢事件が発生した後を想定し,実験を実施する。目撃証言に関する先行研究では,事後情報効果等による記憶の変容が報告されているため,触覚においても視覚と同様に記憶の変容が生じるのか検討していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は,身体接触によって生じる感情と再現実験の一部を実施する。そのため,閉所空間を再現する組み立て式簡易チャンバーやチャンバー内の空調器具,混雑状況を再現するための実験補助者10名程度への謝金や実験参加者への謝金等に研究費を使用する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] 何が触れているのか?-身体背面部と手のひらにおける触判断の比較検討-2012

    • Author(s)
      大森馨子・五十嵐由夏・和氣洋美・厳島行雄
    • Journal Title

      電子情報通信学会技術研究報告HIP2011

      Volume: 59 Pages: 7-10

  • [Presentation] 何が触れているのか?-身体背面部と手のひらにおける触判断の比較検討-2012

    • Author(s)
      大森馨子・五十嵐由夏・和氣洋美・厳島行雄
    • Organizer
      電子情報通信学会
    • Place of Presentation
      久米島
    • Year and Date
      2012年2月9日
  • [Presentation] 身体背面部における触判断の正確性: 動きの要因の検討2011

    • Author(s)
      大森馨子・五十嵐由夏・和氣洋美・厳島行雄
    • Organizer
      日本基礎心理学会第30回大会
    • Place of Presentation
      慶應義塾大学
    • Year and Date
      2011年12月4日
  • [Presentation] 何が触れているのか?-身体背面部と手のひらにおける触判断の比較検討-2011

    • Author(s)
      大森馨子
    • Organizer
      日本基礎心理学会創立30周年記念サテライト・ワークショップ. 触知覚研究のひろがり: 基礎心理学, 応用心理学, 工学の観点から
    • Place of Presentation
      神奈川大学
    • Year and Date
      2011年12月2日
  • [Presentation] 身体背面部における触判断の正確性2011

    • Author(s)
      大森馨子・五十嵐由夏・和氣洋美・厳島行雄
    • Organizer
      法と心理学会第12回大会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2011-10-01
  • [Presentation] 大学生における痴漢被害状況と痴漢事件に対する意識調査2011

    • Author(s)
      五十嵐由夏・大森馨子・和氣洋美・厳島行雄
    • Organizer
      法と心理学会第12回大会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2011-10-01

URL: 

Published: 2013-07-10  

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