2013 Fiscal Year Annual Research Report
身体背面部での触覚情報処理に関する心理メカニズムの解明:痴漢事件に関わる基礎研究
Project/Area Number |
23653231
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
齋藤 馨子 (大森 馨子) 神奈川大学, 経営学部, 非常勤講師 (30533038)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 洋美 神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (80122951)
厳島 行雄 日本大学, 文理学部, 教授 (20147698)
五十嵐 由夏 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (50639581)
|
Keywords | 触覚 / 身体接触 / 痴漢 / 身体背面部 / 手 / 感情 / 冤罪 |
Research Abstract |
本年度は、これまで行ってきた身体接触による快・不快感の調査に関して、日常の身体接触頻度の観点から分析を行った。また、実際の痴漢場面を想定した実験を実施し、繰り返し触られることによる触知覚・認知について検討を行った。 日常の身体接触頻度の観点から身体接触による快・不快感を分析するにあたり、さらなる調査協力者を募り質問紙調査を行った。これまでと同様に、質問紙では16部位に分けられた身体図を示し、「あなたは同性 (異性) の親友 (知らない人) に各部分を触られた場合、どのように感じますか?」と尋ね、“1:非常に不快”―“5:非常に心地よい”の5件法により回答を求めた。また、日常生活での身体接触経験の頻度についても5件法により尋ねた。その結果、身体接触が日常“全くない”と回答した者は、他に比べて身体接触を不快であると判断することが明らかとなり、身体接触経験が少ない場合、性別や相手との関係性にかかわらず、身体接触自体を不快に感じやすい可能性が示唆された。 繰り返し触られることによる触知覚・認知の実験的検討では、各実験参加者に対して、同じ刺激 (手のひら・手の甲・カバン面・カバンひも) が同じ部位 (手のひら・臀部) に同じように (動きあり・なし) 連続して20回提示され、提示された刺激が何であったのか回答することが求められた (計320試行)。なお、実験参加者は同じ刺激が繰り返し提示されることは知らない状況で、触判断が求められた。その結果、触れられる部位によって正答率に違いが見られ、臀部に何かが触れた場合、手に何かが触れた場合よりも正答率は低くなることが明らかとなった。また、刺激の動きの有無や提示回数によって正答率に有意な差は見られなかった。これらの結果から、臀部では手のような正確な触判断は困難であり、たとえ繰り返し何度も触れられたとしても、触れている物が動いたとしても、正しく判断できないことが示唆された。
|
Research Products
(5 results)