2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653232
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
犬飼 朋恵 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 講師 (10531684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 純一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (30322241)
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Keywords | 視覚的注意 / 注意の制御機能 / 月経周期 |
Research Abstract |
目下の行動目標と無関係なものに,注意が向いてしまうことがある。この注意の捕捉は,標的以外の刺激に注意が時間的・空間的に逸脱することによって,標的の同定成績が低下することにより認められる。本研究では,時間的な探索課題と空間的な探索課題において注意の捕捉が認められることと,時間的な探索課題を用いた場合には男性に比べて女性の方が注意の捕捉の生起量が大きくなることを明らかにした。これは,時間的な探索課題を遂行中の女性は課題非関連な目立つ刺激を無視できないことを示している。そこで,このような目立つ対象の検出に関する敏感さが月経周期に伴うホルモンバランスの変化に起因する可能性を検討した。ホルモンバランスの変化の影響を検討するために,同一実験参加者に対して,月経周期内の月経期(月経開始から3日目前後),卵胞期(10日目前後),黄体期(25日前後)に実験を実施した。このとき,各周期段階を特定するために唾液を採取し,唾液に含まれるホルモンの分泌量を測定した。卵胞期にはエストラジオールが多く分泌され,黄体期にはプロゲステロンが多く分泌されることが知られている。時間的な探索課題を用いた場合も空間的な探索課題を用いた場合も,いずれの周期段階においても注意の捕捉の生起量に変化は認められなかった。これは,課題に関係のない目立つ刺激の検出に関する敏感さが,月経周期に伴うホルモンバランスの変化に起因する訳ではないことを示している。しかしながら,時間的な注意の捕捉の生起量は男性に比べて女性の方が大きいことが,月経周期のいずれの段階においても認められた。このことから,時間的な注意に対する刺激駆動的な制御の影響の受けやすさに関する男女差が生物学的な要因に起因する可能性が示唆された。
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