2013 Fiscal Year Annual Research Report
能力評価重視で修学を免除する大学学位授与システムの実現可能に関する研究
Project/Area Number |
23653242
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
夏目 達也 名古屋大学, 高等教育研究センター, 教授 (10281859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 かおり 新潟大学, 大学教育機能開発センター, 准教授 (80323997)
近田 政博 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (80281062)
中井 俊樹 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (30303598)
齋藤 芳子 名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教 (90344077)
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Keywords | 学位制度 / 能力評価 / コンピテンス / 従前学習評価 / インフォーマル学習 / ノンフォーマル学習 / 経験学習 / 成人学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、能力評価重視で修学を免除する大学学位授与システムが諸外国における実施状況や主な特徴を解明すること、この制度の実現可能性を検証することである。研究を通じて、以下のような知見を得るに至った。 1.同学位システムは、ヨーロッパ諸国や北米諸国等で実施されている。その内容や普及状況は、高等教育の歴史的展開・普及状況、学位制度の特質、雇用慣行等に規定されて、国によりかなり多様である。同システムを支えるのは、「従前学習認証」(APL)である。従前学習認証はインフォーマル学習の成果を所定手続きに従i評価する活動である。 2.同システムは、大学教育のあり方に見直しを迫る可能性を内容している。APLは、諸経験での知識・技能を大学が単位認定するが、そのことは大学が提供する知識・技能が職業・生活体験を通じても習得できることを意味する。換言すれば、大学教育の専門性がその程度であることを、大学自身が認めることになる可能性がある。そのために、大学関係者から強い批判を招いている。能力評価の前提としての評価基準について、その設定の是非と可能性について、同システムは問題を提起する。詳細な能力評価基準の設定が比較的容易な中等教育・職業教育と異なり、高等教育では難しい。にもかかわらず基準設定が同システムの前提とすれば、高等教育で実施するとすれば、高等教育の伝統的なあり方を大きく見直すことになる。高等教育学位授与で用いられるべき評価方法とはいかなるものか、それは十分な客観性を担保できるかについて、同システムは問題を提起する。 3.ヨーロッパ諸国では、学習成果の評価方法は、各高等教育機関の裁量に委ねられている。各大学は、APL利用者のための専門組織・人員を配置して必要書類作成を支援している。客観的評価規準のない状況下で、各機関の裁量に委ねることが質保証につながらない可能性がある。
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Research Products
(1 results)