2014 Fiscal Year Research-status Report
初任保育者のための子どもと家族をつなぐ心理学的研修プログラムの構築に関する研究
Project/Area Number |
23653248
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 美香 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00320052)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 若手保育者 / 保護者支援 / グループインタビュー法 / 困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
若手の保育者が,保育実践を通じて,どのように保護者支援で困難に直面しながら実践知を獲得していくのか,グループインタビュー法による質的データから検討した。新任期には、日々の業務に精一杯ななか、保護者から保育上の不備を指摘されると動揺して対応不能に陥る可能性が示された。上司や同僚の助言を得て少しずつ実践力を身につけていくことによって、保護者との関係を築くなかで、自らの保育観や発達観も明確になっていき、必要な支援を見いだし実践するようになることも明らかになった。 また,養成校が研究実施体となり,被調査者を母校である養成校に招き,若手保育者が介してグループインタビューを行った方法は,研究データの収集のみならず,養成校が行う卒業生のためのフォローアップ研修の意味も含まれることが示唆された。同窓生であるという意識は,参加者相互の親密感と安心感を保障し,自らの保護者支援における困窮状況を表明する一方,同様の体験をした他者が解決の方策を紹介したり,解決に向けるためにはどのようなことを考慮すべき必要があるかなど,参加者の研修の機会となった。昨今,医療系では学部での知的な学びから,卒後のより実践的な学びへと質の違った学びを提供する試みが散見される。本研究このような研究動向の中で,養成校が行う卒後のフォローアップ教育の一端としての有用性が明らかにされた。 また,保育経験年数が5年未満の若手保育者を対象に,保護者支援の実際に関する質問紙調査を行った。その結果,幼稚園・保育所ともに「「生活習慣の確立」,「発達上の課題」への対応を行うことが多いことが一致していた。また,保護者支援に際して,困難さを認識する場面として最も多かったのは「子育て上のアドバイスを求められる」ことであった。とっさの判断と的確に助言する力量には不足を感じていることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度,最終年度として,初任保育者のための子どもと家族をつなぐための研修プログラムの作成を予定していたが,十分な研修内容の検証が行えなかったため,上記の自己評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
①保育経験5年未満の保育者を対象に,より詳細な保護者支援上の課題を個別のインタビュー方法によって聴取し,ベテランや中堅の保育者の意見と比較検討し,その結果を研修プログラムの内容として,吟味する。 ②初任保育者の子どもと家庭をつなぐための研修プログラムの内容を確定し,その内容に沿って研修の試案を作成する。 ③②の試案をもとに,若手保育者に実施し,その効果性の検討を行う。
|
Causes of Carryover |
研究対象者との日程の都合がつかず,研究を実施することができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
若手保育者への個別のインタビュー調査および,中堅およびベテランの保育者への個別のインタビュー調査の実施。 初任保育者の子どもと家族をつなぐための研修プログラムの構築と効果性の検討
|
Research Products
(1 results)