2011 Fiscal Year Research-status Report
多文化子育て支援の研究――10年後の経年比較調査と4カ国比較調査による情報共有化
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23653253
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
山岡 テイ 立正大学, 心理学部, 講師 (60599900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 富美子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (00060682)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多文化子育て / 多文化保育 / 子育て支援 / 教育期待と子育て不安 / 子育て国際比較 / 多言語質問紙調査 / 国際情報交換 / 韓国:台湾:中国:ニュージーランド |
Research Abstract |
1.日本における「多文化子育て生活」を母語による質問紙で10年後の経年比較を行い、現在の実態を明らかにする。2000年に多文化な子育ての実情を知り、子どもと家族を囲む今日的な問題点を明らかにするために、日本で初めて11言語12種類の調査票で質問紙調査を行い65カ国籍2002人の子育て生活の実態を明らかにした。10年間に多文化子育ての支援状況は改善しつつあるが、全国的には地域格差があり未だ多くの課題が残されている。そこで、10年後の経年比較である第2回多文化子育て調査を実施し、77カ国籍2065人の保護者から日本での子育て現況や園生活と子育て支援への意見を得た。その中間報告書は、現場の協力園や市区町村役所など関係諸機関へとフィードバックし現在はデータの詳細をさらに分析中である。2.日本・韓国・中国・台湾での本国調査を通して、各国と日本の多文化子育てを多元的に検証する。 調査対象者の中で多くを占める中国、韓国、台湾の本国での園児の保護者を対象に、1月~3月に実施した日本調査(N=2,220)と同じ質問票で4ヵ国比較調査を実施した。現在、居住環境や社会的環境による意識や行動の相違点と共通点の考察を各国の研究協力者との間で行っている。3.国内外での多文化の先端的な事例研究調査を行い、地域や国籍を超えて、情報やデータを考証する。5つの国内外の調査結果を基軸にして、多文化な家族が多い地域での特徴的な事例研究や先端的な取り組みを抽出した。園と小学校、行政、民間ボランティア団体など諸機関との連携に関する包括的な分析検証を、アジア人が急速に増加するオセアニア地域も含めて、各国の研究協力者と同時に進行している。多元的な調査研究を通して、未就学時期に就学後の課題解決も視野に入れた多文化子育て支援への具体的な善処策を、地域や国籍を超えて考察し共有化することは、本研究の課題目標のひとつでもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、以下の調査を順次行う予定であった。1.日本での「第2回多文化子育て調査」、2.日本での「日本子育て調査」、3.現地での「韓国子育て調査」、4.現地での「台湾子育て調査」、5.現地での「中国子育て調査」、6.アジア人移住者が多いニュージーランドなど「多文化国家での事例研究」、7.日本での「先端的な事例研究」を平成23年~24年度に実施する予定であった。 しかし、実際には、国内では1と2の実査と検証をするにあたって、園や地方行政など子育て支援の現場を訪問して事例研究をする機会を得ることができた。同様に、韓国・台湾・中国において本国での質問紙調査を実施するにあたって、当該国の研究協力者達との緊密な打ち合わせを行いながら現地では多くの幼稚園や保育所の訪問を行った。本研究が、計画を上回り順調に推移していることは、各国の研究者、園や行政から、本調査の目的を理解した参画意識の高い協力を得られたことによるところが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、6つの実態調査結果と各国の先端事例研究を4つの検証段階を踏まえて報告書にまとめていく。1.「第1回多文化子育て調査」と「第2回多文化子育て調査」の経年比較調査、および「日本子育て調査」を共通の設問項目で比較検証を行う。2.1の結果と「韓国・台湾・中国」各国の子育て調査結果の国際比較を行い、その特徴と差異を明らかにする。3.とくに、質問紙調査項目の中で、「地域や行政、民間サービスなど子育て支援への提案・意見」には、現在の各国の現状を表す興味深い自由記述が寄せられている。それらを多領域で活用ができるように分析を詳細に行う。4.1から3までの調査結果データや情報を協同研究者間で共有化して、先端的な事例研究や方策に関しても相互に検証し合い情報交換を重ねて、保育士・教員養成へのリソースにもなり得るように執筆分担しながら、多言語で発表や論文を作成できることを目ざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、各国からの質問紙調査と事例研究のための調査費関連費用である。各言語のデータ翻訳・入力や編集作業・郵送費、学会発表や協同研究者間での会議交通費、報告書(印刷媒体とホームページ)作成のための費用などである。
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Research Products
(7 results)