2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦前の台湾文化交流史を背景地とした戦後沖縄児童文化・文学の展開と全体像の解明
Project/Area Number |
23653256
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
斎木 喜美子 福山市立大学, 教育学部, 教授 (30387633)
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Keywords | 戦後沖縄 / 児童文化 / 児童文学 / 川平朝申 / 古藤実冨 / 儀間比呂志 |
Research Abstract |
本研究は、戦前の台湾と沖縄の文化交流史を背景地とした、戦後児童文化・文学の沖縄からの発信と展開過程の実態、さらにはその全体像を描くことを目的に行われた。 研究期間中はまず第一に、戦後初期、台湾から引き揚げてきて八重山諸島で児童文化・文学活動を展開していた古藤実冨(1906-1961)に着目し、「八重山こども新聞」や『青い鳥』に掲載された作品を中心に、古藤の実践と作品内容を調査した。さらに古藤の三男宅に遺品として残されていた生原稿の整理を行い、未発表作品なども合わせてこれまで未解明であった作品リストの作成を行った。 次に、同じく台湾から引き揚げて後、沖縄本島で文化行政に活躍していた川平朝申(1908-1998)の台湾時代の児童文化活動や児童向けの作品調査及び本島で出版した児童文学作品、児童劇脚本などの資料調査を行い、川平の戦前・戦後を網羅した作品リストを作成した。 また研究の最終年度には、古藤や川平のライフサイクル研究を通した作品研究を並行して行い、台湾時代との連続性や作品の主題・思想、文学的特徴について考察した。 研究期間全体を通して、戦前戦後という最も資料散逸の激しかった時代の資料発掘のみならず、戦後初期の沖縄児童文化運動の胎動期の実態、戦後児童文学創作への歩みを、具体的な作品を通して検証できたことが成果としてあげられる。また、本研究課題から派生した「戦前の南洋を背景地とした児童文化の系譜」についても示唆を得られたため、川平とともに戦後初の沖縄絵本を出版した儀間比呂志の仕事についても、作品の書誌をまとめ、作品分析を行った。今後は両ルートを軸にさらに研究を深めていくことを課題としていきたい。
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Research Products
(4 results)