2011 Fiscal Year Research-status Report
認定子ども園の教育・保育実習における「自己・実習評価票」の開発
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23653258
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
山田 朋子 中村学園大学, 教育学部, 講師 (50524328)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 認定こども園 / 実習評価票 |
Research Abstract |
本研究は「認定こども園の状況に即し、且つ、自己評価と実習評価を兼ね備えた」新たな実習評価票の開発が目的である。当該年度は認定こども園における実習状況の現状把握から実習実施に伴う問題点を探ることを目的に行う。 長崎県幼保連携型認定子ども園において全体の教育・保育課程および指導計画と組織構成等についてインタビュー調査を実施した。この園では総括園長、保育園長、幼稚園長が職務を分担し実習に関して養成校より依頼される実習の内容に準じて従来の実習指導を展開している。幼稚園教育実習は幼稚園部、保育所実習は保育園部が指導内容を担当する。つまり認定こども園では従来型の幼稚園実習や保育所実習の形態で対応している状況にある。そのため実習評価も養成校独自の幼稚園実習または保育所実習の様式での評価票が提示され、「認定こども園の保育者」を養成する実習にはなっていない。養成校が認定こども園での実習の意識をもたなければ園は従来通りの実習を行わざるをえないのである。保育所型および幼稚園型の園もそれぞれの実習を実施するため特別な計画等は見られない。認定こども園の幼保連携型では、新システムにおける新たな幼児保育を模索中であり実習に関する論議に焦点が及ばない状況であることが明らかになった。 調査園では保育所実習受け入れに際して保育所実習の指導に関するミニマムスタンダードベースの指導内容の明確化を求める意見があり、保育士養成協議会アンケート結果と同様であった。認定こども園でありながら幼稚園および保育所実習として受け入れる現状と、養成校が認定こども園保育者の視点による実習検討をしない限り現状の2元的実習体制の実施が続くであろう。幼稚園教諭と保育士が互いの幼児教育の様々な違いに戸惑いながら保育を展開している幼保連携型保育の特徴を踏まえ、さらに認定こども園での実習に求められる実習内容を明確にする必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認定こども園では保育所実習および幼稚園実習と分けて実習を受け入れている現状にある。そのため、全国調査実施前に改めて認定こども園としての保育実習の内容項目を十分検討する必要性が出てきている。また、総合こども園構想が国会で議論されている動向を見据えた幼児教育に求められる保育者につながる実習という視点を踏まえた研究を進めなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
幼稚園教諭および保育士資格が子ども士として統合が見込まれないのであれば、これからも認定こども園での実習も幼稚園実習および保育所実習として展開することになるであろう。それは従来の幼稚園教諭や保育士がそれぞれ幼稚園または保育所勤務経験の中での実習受け入れ方法をそのまま認定こども園での実習に流用しているからである。現場の職員も双方の職務の違いについて保育を通して実感しながら日々過ごしている。その中でまず、新たな認定こども園の実習の取り組み方を探ることが求められる。全国でのアンケート調査実施前に、幼保連携型こども園で実習に関する事例を多く収集を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
4月~10月の期間に先進的な「ゆうゆうの森幼保園」(幼保連携型・横浜市所在)など計3園を訪問しヒヤリングや実習観察などの実態調査および討論を行う。総合施設向けの調査は,質問紙,インタビュー調査および討論を行う。また,実習状況について学生の保育実践場面のビデオ撮影をして,行動観察分析を行い,保育実習での評価「態度」「知識・技能」の項目について,保育所実習ミニマムスタンダードをベースにしながら,総合施設での「保育者用自校評価項目案」の項目を実習生としての学びの新たな観点として検討する。その具体的な観察・ヒヤリングの研究手法は,増田まゆみ研究代表平成17・18年度厚生労働省科学研究「就学前の保育・教育を一体とした総合施設のサービスの質に関する研究」(平成17年度報告書)を参考に実施する。園の選定には幼保連携型,幼稚園型,保育所型,地域裁量型の類型による代表的な園を抽出する予定であったが平成23年度の予備調査によって各実習内容により幼稚園実習や保育所実習に対応した実習を展開している現状が明らかとなったことから、おもに幼保連携型に焦点を当てて検討する。 11月~3月の期間にアンケートによる「実習評価票」の全国調査を行う。具体的な全国調査は権藤眞織研究代表,「保育実習(施設)の現状に関する調査II-(1)保育実習指導のミニマムスタンダードを用いた評価:実習施設」及び,河野淳子研究代表,「保育実習(施設)の現状に関する調査II-(2)保育実習指導のミニマムスタンダードを用いた実習指導内容についての全国調査:養成校編」の取り組みに加えて,増田まゆみ研究代表「認定こども園と保育所・幼稚園合同保育実施施設における保育の質の評価に関する一考察」(2007)による「保育所用自己評価項目案」を参考に,総合施設における「幼稚園教育実習評価票」及び「保育所実習評価票」を統合したアンケート調査を行う。
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