2011 Fiscal Year Research-status Report
到達目標を明確にした教育課程基準のモデル開発に関する研究
Project/Area Number |
23653259
|
Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
工藤 文三 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (30231096)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 教育課程基準 / 到達目標 |
Research Abstract |
平成23年度においては、次の3点について研究を進めた。(1) 外国における教育課程基準に関わる資料の分析整理 研究の対象とした国等は、到達目標を重視した教育課程基準を設定している、イギリス、オーストラリア、フランス、中華民国とした。これらの国の教育課程基準の構成について、国立教育政策研究所のこれまでの調査研究の成果や関連学会の成果物、インターネットによって得た資料を参考に整理を行った。分析整理の着眼点は、(1)到達目標設定の根拠や設定手続き、設定方法、(2)到達目標と教育課程を構成する内容との関連、(3)到達目標及び教育課程基準を評価する仕組みと方法、などである。(2) 国内における先行開発事例の調査 我が国において、目標とする資質や能力の習得を目指した教育課程の開発を進めている、教育課程特例校及び文部科学省研究開発学校における教育課程の開発事例の調査を行った。構造改革特区の指定を受けて行われた東京都品川区の「市民科」や世田谷区の「日本語」等についてカリキュラム関係の資料を収集し、指導目標、内容、指導方法の関係について整理を行った。 (3) 現行の教育課程基準における目標、内容等の相互関係の整理 現行の教育課程基準である学校教育法等の法令及び学習指導要領を、目標、内容等の相互関係の視点から整理・分析を行った。学校教育法に規定されている教育目標と学習指導要領との関係、学習指導要領における総則の目標と各教科等の目標と内容、方法との関連の整理を行った。学習指導要領の総則の意義について、教育課程と各教科等との関連の視点から考察を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記した三つの研究について、それぞれほぼ順調に資料の収集と整理、考察を行ってきたが、それぞれの相互関係を踏まえた体系的な調査にまでは至らなかったのが現状である。 また、教育課程特例校及び文部科学省研究開発学校の開発事例に関する資料調査については、報告書等を通して詳細で具体的な内容が把握できない事例も見られ、資料に限界があることが分かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、次の二つの点から研究を進める。(1) 到達目標を明確にした教育課程基準の示し方の類型化 到達目標を明確にした教育課程基準については、例えば、総括目標、領域目標を用意し、それらを元に教育課程の区分を構成する方法、学年段階をステージ等に区分し、ステージごとの目標を示す方法、教育課程のシークェンスとスコープの交差ごとに諸能力を配置編成する方法等が考えられる。一方、国の基準と地方基準、各学校の相互関係についても、視野に入れた類型を考える。これらの視点及び平成23年度の研究から得られた知見を生かしながら、教育課程基準の示し方のタイプ化を図る。(2) 到達目標を明確にした教育課程基準の試案の作成 到達目標を明確にした教育課程基準について、現行の学習指導要領の範囲を前提に、その組み替え案を作成する。その際、教育課程を構成する教育目標と教育内容、学年やステージの組み合わせ方法について、教科のように"境界維持"の強い類型と、領域や分野のように弱い類型とに区別して試案を作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に使用することとなる研究費(19,943円)が生じた理由については、旅費や物品費の額が予定よりも押さえられたからである。 平成24年度においては、前年度からの繰り越し分も含めて、物品費約15万円、旅費約25万円、その他約12万円の使用を予定している。物品費は図書や消耗品、旅費は資料収集並びに調査旅費、その他は印刷費等を予定している。
|