2011 Fiscal Year Research-status Report
留学生宿舎設置・運営方針の研究;QOLと留学目標達成評価の視点から
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23653264
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 佐知彦 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (70335397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 希穂 大阪大学, 国際教育交流センター, 助教 (40399043)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 学校組織・学校文化 / 留学生宿舎 |
Research Abstract |
大学国際化の諸施策の中で「プログラム」や「カリキュラム」に比べ、留学生宿舎は比較的等閑視されてきたといえる。しかし実際には日本留学の成果を左右する大きな要因であり、日本が国際的な高等教育市場で生き残っていくためには宿舎整備の指針が必要である。そこで本研究では大阪大学を中心に複数校の(短期)留学生のQuality of Life(以下QOL)の自己評価と入居宿舎タイプとの関連を調査し、同時に留学目標達成に関するフォローアップ調査を実施して留学生宿舎整備の指針を得る。平成23年度に関しては、分担者・田中を中心として、QOL測定に関する理論面の構築および、アンケート調査に「落とし込む」ための宿舎のタイプ分けやweb上でのQOL測定の方法などについての検討を行った。また独自にwebアンケートシステムが構築できる予算規模ではなかったため、代表者・近藤が各種システムなどを調査・照合した結果、コストと機能のバランスから利害得失を判断し、放送大学機構が運用するREAS (リアルタイム評価支援システム)が適当であるとの結論に達し、現在は当該システムを使って留学生対象アンケートを試行しているところである。なお、設置者の側から見ての宿舎設置の指針を設けることを期して、近藤および田中で意欲的な取組をしている大学等への聞き取りを実施している。宿舎に関してのそれぞれの状況に応じた宿舎設置者の意図などもくみ取るためである。住人である留学生の「満足度」だけに片寄る調査では一面的な結果になることが予想される。設置者にも納得できるような「留学目的を達成する宿舎」のための現実的な指針を得て、本研究の成果を社会に還元する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広く留学生等にアンケートをとる作業が進行中であるが、まだその結果をとりまとめる段階には至っていない。その一方、宿舎施設の設置者を中心とした聞き取り作業は比較的順調に進展しており、内外の注目するべき取組については実際にその地を訪れて(北大、道教大、ICU、名大、福岡女子大、九大、長崎大、ロンドン大、エセックス大など)、現場における聞き取り調査を実施している。またQOLにかんする理論面についても関連発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の試行アンケートの内容を調整し、留学生を対象として本格的なwebアンケート調査に移行するとともに、内外の注目するべき留学生宿舎施策について、引き続き聞き取りを続ける。なお、旅費等の制約により必ずしもすべての聞き取りが可能というわけではないが、宿舎設置者のwebアンケートによって、真に興味深い取組について情報を収集し、実地の聞き取りはいくつかの取組を精選した上で実施する予定である。なお、H24年度H25年度の課題としては、本取り組みの発表、社会への周知・還元方法などについて、どのような方策を用いるかについての検討が含まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
代表者・近藤による聞き取り調査の続行および順次その結果の取り纏めを行うとともに、分担者・田中も適宜聞き取りを行う。それらのための旅費にあてる。なおQOLに関する理論的構築およびweb等で集められたデータの精査・分析に関しては、田中が引き続き担当し、そのための最新文献等の購入を行う。
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