2013 Fiscal Year Research-status Report
留学生宿舎設置・運営方針の研究;QOLと留学目標達成評価の視点から
Project/Area Number |
23653264
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 佐知彦 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (70335397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 希穂 大阪大学, 国際教育交流センター, 助教 (40399043)
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Keywords | 留学生受け入れ / QOL / 宿舎 |
Research Abstract |
大学国際化の諸施策の中で「プログラム」や「カリキュラム」に比べ、留学生宿舎は比較的等閑視されてきたといえる。しかし留学生受け入れ30万人を真剣に目指す上では、宿舎整備は大きなファクターであり、日本が国際的な高等教育市場で生き残っていくための指針が必要である。そこで本研究では大阪大学などを中心に複数校の留学生のQuality of Life(以下QOL)の自己評価と入居宿舎タイプとの関連を調査してきた。なかでも分担者・田中を中心として、QOL測定に関する理論面の構築および、アンケート調査に「落とし込む」ための宿舎のタイプ分けやweb上でのQOL測定の方法などについての検討を行った。また複数年にわたって留学生および留学経験者からのアンケートを集め、それぞれの留学生が日本での生活環境(QOL)に対してどのような自己評価を下しているか主観的な評価と、入居宿舎タイプの関連性を探ってきている。 なお、設置者の側から見ての宿舎設置の指針を設けることを期して、代表者・近藤および分担者・田中で意欲的な取組をしている大学等への聞き取り等を実施し、その結果を発表している。宿舎に関してのそれぞれの状況に応じた宿舎設置者の意図や学生受入のために割ける資源など、様々な要因が考えられる。住人である留学生の「満足度」だけに片寄る調査では一面的な結果になることが予想されるが、設置者にも納得できるような「留学目的を達成する宿舎」のための現実的な指針をたて、本研究の成果を社会に還元する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広く留学生を対象としてweb上でアンケートをとったが、様々な要因を考慮して無記名アンケートとして実施したため、その後のフォローアップについては困難が生じている。その一方、入居宿舎タイプとQOLについては、アンケート中にで細かく問うことでデータの収集につとめ、分担者・田中などを中心に、その関連について分析が進みた。その成果は学会発表や学会誌・紀要での報告などに至っている。また内外の注目するべき取組については実際にその地を訪れて(北大、道教大、ICU、名大、福岡女子大、九大、長崎大、ロンドン大、エセックス大など)、現場における聞き取り調査を実施しており、引き続きその調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度-25年度に収集したアンケートの内容を検討すると共に、内外の注目するべき留学生宿舎施策について、引き続き聞き取りを続ける。混住化や学寮を通じた日本人学生の国際化といった「留学生をリソースとしたグローバルキャンパス・教育の実現」の方向性が注目されるが、真に興味深い取組について情報を収集し、実地の聞き取りはいくつかの取組を精選した上で実施する予定である。なお、次年次以降の課題としては、本取り組みの発表、社会への周知・還元方法などについて、どのような方策を用いるかについて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行中に一時期は予算成立に関しての不安定な時期もあったため、意識して抑制的に予算執行に努めた。その結果一部現地を訪れての調査や情報収集については意を尽くせていないところがあった。そのなかでも内外で見られるようになった留学生寮を教育目的で日本人にも開放していく新たなトレンド(学習寮や混住による日本人学生グローバル化の試みなど)について、追加の調査を行い、研究課題についてより理解を進める。 内外のグッドプラクティスについて取材を進めるため、主として旅費として費消する予定である。
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