2011 Fiscal Year Research-status Report
職員室の職場としての機能と課題に関する教育社会学的研究-学校建築上の配置から-
Project/Area Number |
23653270
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西島 央 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (00311639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 誉章 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40514328)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校建築 / 職員室 / 教科準備室 / 校務分掌 |
Research Abstract |
1年目は、日本の高校の職員室の学校建築上の状況を確認することを目的に、以下の2つの研究を行った。 第一に、学校建築に関する文献資料や先行研究を蒐集した。蒐集した資料に基づき、明治以降の学校建築が、教育行政上どのような経緯で制度化されてきたか、学校現場の状況に基づきながら、建築学上の特徴を活かしてどのような学校建築を立ててきたかを整理した。その結果、学校建築は、児童・生徒の学習環境を整備することを第一義に制度上も実態としてもつくられてきたことが明らかになった。つまり、教員が専門職として職務を遂行するために、どのような職場環境が望ましいかという観点は、ほとんどなかったことがわかった。 第二に、公立高校の学校見学を行った。具体的には、東京都、佐賀県、和歌山県を事例に、普通科や専門学科など異なる学科、大規模校と小規模校など学校規模の異なる学校を選んで、大職員室、教科準備室、校務分掌ごとの職員室等の学校建築上の配置、大職員室内の席の配置、教員が主にどの職員室にいて職務を行っているかという実態について、見学と聞き取りを通して調査した。調査を通して、同じような配置であっても、教員の職務がうまくできている場合とうまく行っていない場合があること、学校建築がかなり堅牢にできていることが多いため、職員室内の配置を自由に換えることができないなど、学校の指導状況等の変化に応じた職員室の配置の変更をすることが難しいことなどがうかがえた。 以上から、調査事例が少ないため、職員室のタイプや使用状況の類型を検証できる段階までは至っていないが、学科や進学状況、学校規模の違いなどによって、職員室の使用実態には違いがあり、その長所・短所にも違いがあるのではないかという仮説を立てるに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目には、上述の3都県の他にも、日本国内での現地調査を夏休みや春休みに行う予定であった。しかし、研究代表者の西島に、6月に結石が見つかり、そのため夏休み中に調査出張を行うことができなかった。また、西島が、当初予定のなかった入試関係の委員を、他の教員の代わりに急遽引き受けることになったため、春休み中はその業務にほとんど費やされてしまい、予定していた出張を十分に行うことができなくなってしまった。そのために、当初予定していただけの調査とその分析がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、第一に、1年目に予定していたができなかった国内の現地調査の続きを行う予定である。第二に、外国の事例蒐集調査を行う予定である。これらの作業を通して、学校建築上の職員室の配置の特徴を整理・類型化するとともに、その特徴、長所・短所の原因に関する仮説を立てていくこととしたい。 具体的には、7月頃までに、1年目に蒐集したデータの整理を行う。8~9月中に、外国の事例蒐集調査を行う。現在予定している調査国は、イギリス・ドイツ・フィンランドである。10~1月には、首都圏で普通科や専門学科などさまざまな学科の高校の調査を、2~3月には、首都圏以外で大規模校の多い地域と小規模校の多い地域の高校の調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のように、次年度は、1年目に予定して実施できなかった国内での現地調査を行う。次年度に使用する予定の研究費の一部は、そのために使用する。 また、2年目に予定している外国の事例蒐集調査は、当初配分額では十分な調査をすることができる額に不足する可能性があるため、次年度に使用する研究と次年度以降に請求する研究費とを合わせて使用する予定である。
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