職員室の職場としての機能と課題に関する教育社会学的研究－学校建築上の配置から－

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 23653270
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 西島 央 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (00311639)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 古賀 誉章 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40514328)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2015-03-31
• Keywords: 学校建築 / 職員室 / 職場環境 / 高等学校

Outline of Annual Research Achievements

平成26年度には、これまでいくつかの異なる地域及び異なる学科の高校の見学・インタビュー調査を行ってきた成果を活かして、普通科高校の職員室の実態・特徴・課題・改善点について量的に把握することを目的として、６都県の全日制普通科高校を対象に大規模な質問紙調査を郵送法により行った。残念ながら回収率は２０％ほどと、対象地域の普通科高校の特徴を量的に把握するには不十分であったが、見学・インタビュー調査では得ることができないくらいの事例の情報を得ることはできた。
得られた知見としては、教員の居場所のありようが学校によって多岐に分かれていること、さまざまな居場所に教員が分散しているため、それぞれの用途に則した職務を行うには適していても、教員間または生徒との間で情報を共有するのに不十分な環境であると教員に認識されていることがわかってきた。
体調不良により１年間延長して４年間にわたった研究の実績としては、教育諸学の研究領域はもちろん、学校建築を手がけてきている建築学の領域でも、これまで教員が職務を行う職員室のありように焦点化した研究はなかったところに本研究を行い、職員室のありようを初めて実態レベルで捉え、さらにその課題にも少し踏み込むことができた。
教員の多忙化や職務の質の向上が求められているが、それは教員個人または集団としての能力といったソフト面への要求ばかりで、教員が仕事をする環境の整備にはこれまで目が向けられていなかった。しかし、他の職業を考えれば、ある仕事をするのにふさわしい職場環境を整備するための研究や改善の取り組みはふつうに行われている。本研究の成果は、教育諸学または建築学の領域で、教員の職場環境も学校教育の質を上げていくために必要な研究対象であることを示すことができたと考える。