2011 Fiscal Year Research-status Report
保護者・地域住民の学校支援が教員の職務遂行に及ぼす効果に関する定量的研究
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23653272
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
金藤 ふゆ子 常磐大学, 人間科学部, 教授 (90254903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 久美子 国立教育政策研究所, 生涯学習政策研究部, 総括研究官 (10259989)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教員調査 / 小中学校調査 / 学校・家庭・地域の連携 / 統計的研究 |
Research Abstract |
【当該年度の研究内容と意義】 平成23年度は学校、家庭、地域の連携が教員の職務遂行能力に及ぼす影響を明らかにする予備調査年と位置づけた。当初の計画では年度内に関係資料の収集、調査票設計、Web調査によるスモールサンプルでの予備調査の実施を行う予定であった。研究を進める過程で、当初の計画以上に作業が進展した。具体的には学校、家庭、地域の連携事業として「学校支援地域本部事業」や「放課後子ども教室事業」を全県で推進するK県教育委員会のご理解とご協力を得ることが実現し、平成23年度中にK県内全小中学校(小学校計173校,中学校計92校)を対象とする学校調査、及び各校に勤務する教員(小中学校教員計3,720名)の悉皆調査を質問紙法によって実施することができた。平成23年度の研究の主な流れは以下の通りであった。 平成23年4月~5月:文献等資料収集、同年6月~7月:調査方法の検討、及び調査票設計、同年8月~10月:調査票の修正、同年11月~12月:調査対象地の検討、高知県教育委員会への調査依頼と調査手続きの打ち合わせ、平成24年1月~2月:質問紙法による調査実施、同年3月:調査票回収・整理、データ入力の準備。平成23年度の研究により、学校、家庭、地域の連携が教員の職務遂行能力に及ぼす影響を実証的に検証する基礎となる調査票の設計が完了した。また次年度以降、当該年度内に実施したT県の学校調査、教員調査データの分析を進める準備が整った。【当該研究の重要性】 平成23年度の研究によって、調査により実証的に学校、家庭、地域の連携の効果を明らかにしようとする本研究の基礎データが収集された。また予備調査を兼ねたK県の悉皆調査が実施できたことにより、今後の本研究のさらなる発展の方向性も見通すことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述の研究実績の概要でも述べたように、当初の計画では平成23年度は調査設計、及びWeb調査によるスモールサンプル調査を予定していた。しかし、実際には、K県教育委員会のご理解とご協力を頂き、当該県の小中学校調査、及び各校に勤務する教員調査をいずれも悉皆調査として実施することができた。これは当初の計画以上の研究の進展を意味している。学校調査、教員調査データをあわせると約4,000サンプルのデータ回収が実現した。 これらのデータ分析を次年度はさらに進める予定である。なお、当初予定したWeb調査は、データの信頼性に問題点も指摘されていることから、今後の本研究の実施にあたっては調査・研究方法をさらに検討する必要がある。当該年に収集した調査データはそうした信頼性の観点からも、母集団の推定が可能な精度の高い調査データである。本年度はK県のデータ分析をさらに進展し、全国調査の実施を検討したい。 以上の理由から、当初の計画以上に本研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下のような内容・タイムスケジュールで行う予定である。 1.平成23年度に実施したK県の全小中学校調査、及び全小中学校教員調査データの分析を行う。具体的には、学校支援地域本部事業や放課後子ども教室事業などの進展する学校とそうでない学校の違いによって、教員の職務遂行力の違いが左右されるか否かを検証する。RCT(ランダム化比較実験)の手法を活用した分析を試みる(2012年4月~5月:データ入力、2012年6月~8月:データ分析) 2.さらにWEB調査により、小中学校教員調査を計画・実施する。具体的には、K教育委員会所管の小中学校教員調査では実施できなかった職務上のストレスについて差があるか否かを検証する。(2012年9月~11月:調査票設計、2012年12月~1月:調査実施、2012年2月~3月:データクリーニング) 3.以上のK県教育委員会所管の全小中学校調査、及び小中学校勤務の教員調査と上記のWEB調査データに基づく分析を進める(2013年4月~6月)。研究成果の学会等での発表(2013年8月~11月)、論文執筆・投稿(2013年12月~2014年3月) 分析を目指す事項は以下の通り。A.勤務校における学校支援地域本部、放課後子ども教室など保護者と地域住民による学校支援の有無と内容の解明、B.教員の正規の職務の実態と変化の解明、C.教員の職務上のストレスの実態と変化の解明である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、初年度の調査結果を踏まえた本調査の実施、及びデータ分析を中心に行う。具体的にはWEB調査の計画・実施、データ入力、データ分析を行う。 1.初年度の調査を踏まえて、調査票を検討の上、WEB調査を実施する。調査費は120万円程度を予定している。 2.データの分析結果の図表作成を行う。その作業費に約20万円を要する。 3.その他の経費は、関係学会における資料収集のための旅費、文献購入費、及びK県教育委員会への調査実施の御礼と成果報告のための旅費として活用する。 4.さらに予算的なゆとりが出る場合には、調査協力を頂いたK県所管の小中学校に配布するための調査研究報告書を作成する。
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