2011 Fiscal Year Research-status Report
ホロン(全体子)を埋め込んだ自己成長型教育システム
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23653279
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
毛利 尚武 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (90126186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 眞和 桜美林大学, 心理教育学系, 教授 (30016521)
横井 浩史 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90271634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 教育社会学 / 生涯教育 / 全体子 / ホロンコンテンツ |
Research Abstract |
本研究は、教育コンテンツにホロンの属性を与えて(ホロンコンテンツ),これをネットワーク上に展開し,ホロン同士の分散協調により,エージェントである学習者は自己の能力向上を高めると共に,教育コンテンツそのものを創り出していくことによって自律性,分散性,自己成長性を実現しようとするものである.そのために著名人の学習履歴の調査を行い、人生のランドマークにおいて自律性を如何にして獲得維持してきたかを確認できる評価項目を確定した。ホロニック教育システムは,年齢性別を問わず,多くの人が参加して,皆でよいものを作り出していく,そして,皆が無償で利用できる知能社会環境を提唱し,結果として魅力ある教育システムが自動的に創り出される仕組みを目指す.この目的のために、複数のiPadを導入して、ホロンネットワークの考え方を用いて,クラウドコンピューティング上へ実装することを試みた.これにより,ホロンの自律性と自己成長能力を用いて,複数の学習者の間の知識の共有と自動的なコンテンツの創出,アクセス回数による相互評価を実現するシステムを目指した.すなわち,人とネットワークを包含する巨大な自己増殖機能を持つホロニック教育システムを開発することで生きていく力を持つ人の育成を行う基盤的教育システムの効果を期待する. 学習者とホロンとの相互通信を円滑化し,クラウドコンピューティングを実行するために必要となる構造体管理とホロン間の相互作用を構築するためのデータ送受信環境を構築した.さらに,ホロニック教育システムに自己状態管理能力を付与することにより,オートポイエーシスの機能(同種の部分機能の入れ替えの任意性,活動状態の維持機能)を構築することを目指した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、以下に示す項目を実施した。1) 自己成長型教育システムの市場動向調査 教育ITソリューション展の視察、MIT教育システムweb情報調査などを通じてIT技術を活かした教育システム全体を長期かつ総合的に見渡し,個人教育に対する市場の動向調査を行った。2) 教育コンテンツの作成と著名人の講義録や伝記の調査大学の理工学・医工学に属する教員の最終講義聴講や対面聞き取り調査を実施し、活動履歴を抽出し人生のランドマーク作成の準備を行った。大学教養部レベルの教科書と小中高の教科書との関係性を抽出し,基礎教育と発展的教育との間のマップを作るに資する.教育コンテンツについては既刊図書利用の際の著作権の問題をさらに探る。3 ) ホロンの構造体と自己成長の機能を有するシステム構築のためのユーザーインターフェースの試作 iPad用の統合開発環境IDE Xcode, iPhone/iPad Simulatorを用いて,GUIとゲームアプリケーションの開発を行う.また,教育コンテンツの取得や提供のためにクラウドへの通信回線などのデータの送受信環境を準備した。具体的には、学習者や学習支援者および検索システムなどをエージェントとして同一視するデータ構造を提案し、さらに、ウェブページのリンクや検索結果およびカリキュラムをアソシエーションのリストとして扱うことによる組込みを図った。以上を可視化できるユーザインターフェースをiPadアプリとして実装した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度 ○ ホロンの構造体とシステム設計 ホロンの自己完結性を実現するために,次の5項組H{M, F, C, S, D}の属性より機能表現を試みる.属性ベクトルは,それぞれ,M:メッセージ,F:相互作用,C:コンテンツ,S:検索,D:破壊,を意味し,メッセージに基づいた相互作用を実現し,ホロンの生成や検索,破壊,を実現するシステム設計を目指す.ホロンの書式はオートマトン表現により記述し,ネットワークはグラフ理論,情報通信はペトリネット形式(離散事象システムの数理モデルの一種)により表記する.各ホロンは生成文法規則に基づいて,新しいホロンを生成する機能を有する○ホロンの構造体と自己成長の機能を有するシステム構築 以下に示す項目により,ホロニック教育システムを用いたコンテンツの自動生成と自動削除を行いながら,ローカルサーバ上で研究室内の試験運用を開始する.25年度 ○ネットワーク安定性の理論構築と評価 ホロニック教育システムの安定的成長を保障するために,ホロン間の情報通信における相互情報量を管理し,発散を抑えるようにネットワークパラメータの最適化を行うクラウドコンピューティングへの公開を目指して,システムの整備とホロンの機能向上を実施する.○自己成長型教育システムの試験運用と評価 研究代表者および研究分担者間での自己成長型教育システムの試験運用を開始する。実験範囲は複数の小グループから開始し,次にグループ間の垣根を払い,最後に一般に公開できるかを判断する.この現象は極めて非線形な様相を呈するであろうから,その安定性を判断する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は,ホロニック教育システムを用いたコンテンツの自動生成と自動削除を行いながら,ローカルサーバ上で研究室内の試験運用を開始するため,ipad用GUIゲーム構築費用,クラウドへの通信環境設営等の費用をおもに必要とする.
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Research Products
(1 results)