2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653288
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安 直哉 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30230204)
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Keywords | 国語教育解釈学 / 国民国家 / 昭和戦中期 / 読み方教育 / 国民 / 比喩 |
Research Abstract |
昭和戦中期(1937年頃から1945年頃まで)の国語教育は、言語主義的国語教育と身体主義的国語教育との二つの方法論が並立していた。言語主義的国語教育は、形象論的解釈学的国語教育の枠組みで理論化がなされた。その結果、国語教育解釈学という、独自の実践思想を形成し、国語科読み方教育の主流となって今日に至っている。一方、身体主義的国語教育は、錬成主義国語教育として理論化がなされ、具体的には素読教育として、昭和戦中期に隆盛した。錬成主義国語教育は前近代から近現代に至るまで読み方教育の底流として命脈を保っている。 児童を〈歴史的主体〉にさせるという国語教育目標論については、研究期間の初年度目で考究した。 錬成主義国語教育は、素読教育として戦中期に盛んに実践が重ねられたが、戦後は忘却され、衰退した。しかし、近年の脳科学の進歩に伴い、暗記・暗誦の脳機能的有効性が見出されたことによって、現行の学習指導要領では一定の位置づけを得るに至っている。(この点については研究期間の2年度目で考究した。) 国語教育解釈学は、昭和初期から理論化が進められ、現在まで国語科読み方教育の主流を形成している。国語教育解釈学は、言語の持つ比喩機能を活用した読解方法である。この国語教育解釈学が、〈国民国家〉と〈国民〉とを接続するインターフェイス(仲介装置)となっていた。〈国民国家〉は永遠の未来を目指して〈国民〉という「乗り物」(ヴィークル)に乗る。乗り捨て、乗り換えを繰り返しながら、〈国民国家〉は未来永劫という時空の旅をする。危急存亡の危機にたたされた場合は、〈国民〉の命に代えても〈国民国家〉を優先するように、インターフェイス(国語教育解釈学)は、その機能(比喩機能)を逆説的に稼働される。そして〈国民国家〉の延命のために〈国民〉は乗り捨てられたのであった。(この点について研究期間の最終年度で考究した。)
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Research Products
(1 results)