2011 Fiscal Year Research-status Report
アクションリサーチを用いた音楽科教師の専門性の探究
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23653299
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00372764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 巧修 広島大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (20083389)
緒方 満 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20512297)
河邊 昭子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80584862)
伊藤 真 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (70455046)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 台湾 |
Research Abstract |
平成23年度は、まずアクションリサーチの手法について、研究組織の全員で検討した。それをもとに、研究代表者が所属する大学の教育実習機関において、学部教育実習生の合唱の授業を録画し、それを研究者・大学院生が分析した。さらに、教育実習生にも録画された自身の授業を分析させた。分析の視点は、授業者の行動のもととなっている知識・技能は何か、それらは教員養成課程のどの授業で習得されたものか、授業者の行動の課題は何か、それらは何が足りていないからなのか、等である。 分析の結果、指導案の書き方、授業の進め方等の教科教育学の内容に関することは、ほぼ習得できていることがわかった。しかし、歌唱指導の方法、歌唱表現の工夫の仕方、伴奏の弾き方等の教科内容学に関する内容は、教壇実習ではそれほど活かされていなかった。研究者・大学院生が客観的に分析すると、教員養成課程における合唱の授業、指揮法の授業、声楽の授業で教えられているはずの内容に関する課題が多かったが、授業者自身には、大学におけるそれらの授業と自身の授業の課題との関連性が明確には意識されていなかった。 以上の研究の成果として、(1)学部教育実習生の実践力の向上が期待されること、(2)大学院生の授業観察力・洞察力の向上が見られたこと、が挙げられる。 これらの結果をもとに、共著「教員養成モデル・コア・カリキュラム作成のための教科構成原理の研究」『広島大学大学院教育学研究科 共同研究プロジェクト報告書』第10巻において、音楽科教育の場合について執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究の目的は、(1)アクションリサーチの手法について検討すること、(2)教育実習機関において学部教育実習生の授業を録画し、研究者・大学院生がアクションリサーチすること、(3)学部教育自習生⇔研究者・大学院生の相互フィードバックによって、授業改善を行う、であった。以上の目的はほぼ達成できたと言える。ただし、研究成果を学会発表するまでには至らなかった。平成23年度の研究成果は、平成24年度の学会で発表する予定である。また、分析対象とした教育実習生の授業はすべて合唱の授業であったため、他の領域の授業に必要な知識・技能を明らかにすることはできなかった。平成24年度では、すべての領域の授業観察を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に検討したアクションリサーチの手法を用いて、引き続き教育自習生の授業をすべての領域にわたって録画し、研究者、教員養成課程における教科内容学の教員、附属学校音楽科教師、教育自習生によって分析する。これらのことによって、音楽科授業で必要とされる専門性とは何かを探る。 全国の国立大学音楽科教員養成機関を対象として、音楽科教員養成シラバスおよび教職実践演習に関する質問紙調査を行う。教職実践演習は、音楽科教員として必要な資質が獲得されているかどうかを確認するために行われる授業であり、教職実践演習の取り組みを明らかにすることは、各大学の音楽科教員養成観の解明につながると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
授業分析に関わる附属学校音楽科教師に対する謝金(専門的知識の提供)、質問紙調査に関わる費用、質問紙調査のデータ処理等に関わる院生への謝金(データ入力、資料整理等)を予定している。さらに、附属学校4校で一斉に複数の授業を録画するために、録画機器の補充、三脚、メモリーカード等の購入も予定している。
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Research Products
(1 results)