2012 Fiscal Year Research-status Report
創造性を育成するハイブリッド型科学カリキュラムの構成原理に関する総合的研究
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23653300
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
磯崎 哲夫 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90243534)
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Keywords | 科学教育 |
Research Abstract |
本年度は、理論的研究として諸外国(特に欧州諸国)における科学の学力観について、目的・目標論、学習内容論、学習方法論に分けて分析を行った。その結果、欧州全体では、生涯学習社会と知識基盤社会を意識し、コンピテンスやリテラシーをキーワードに20世紀末から科学教育に対する対策を講じてきていることを明らかとした。具体的ケース・スタディーとして、イギリスの科学カリキュラム構成原理について見ると、目的・目標論において将来の科学者も含めて子どもを鑑識眼のある(クリティカルな)科学的知識の消費者と位置づけられていること、そのため科学的知識の量よりも質が重視され、伝統的あるいは先端的な科学的知識に加えて、「科学がどのように機能するのか」といった科学の本質に関わる知識が積極的に取り入れられていること、また、伝統的な科学の体系に基づく単元構成以外にも、断片的な知識の寄せ集めではなく文脈を基盤とし、科学的知識は人類が営々として築きあげてきた作品としてストリーを持たせて教えることが主張されていることが明らかとなった。学習方法に関しては、観察・実験を中心とする科学的探究活動が強調されながらも、科学の学習における言語の役割を重視して、証拠に基づくディスカッション、ダイアローグ、アーギュメンテーションや書(描)くことによる表現活動など多様な活動が奨励されていることが明らかとなった。 本年度は、理論的研究により得られた知見をもとに、日本の中学生に対して「科学がどのように機能するのか」に係わる授業実践研究(予備調査)を行い、子どもの変容を分析した。特に、現象を科学的に説明する能力に関して継続的な指導が必要であることが示唆された。 加えて、本年度は、日本の理科教育の歴史的側面について理論的な分析を行った。そして、明治前半に理科教育が組織化され、それは欧米の科学教育を脱文脈化させて成立したことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、理論的研究として比較分析としたイギリスのカリキュラム構成原理を分析し、加えて欧州全体の科学教育の動向やドイツの科学教育スタンダードの分析を行い、目的・目標、学習内容や方法の特色を明らかにした。また、これらを参考にして、中学校における新しい視点での授業実践の予備調査を行った。その意味で、研究は当初の計画以上に進展している。また、理論的研究としての歴史研究では、日本の理科教育の出自を明らかにし、欧米諸国と比較した日本の理科教育の特色を明らかにした。ただ、戦後の理数科に関する資料の分析は実施できなかった。 また、実態調査として産業界の求める人物像については資料を収集し分析中である。加えて、中学校理科教師に対して卓越性に関する考え方をインタビューし、分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの研究成果をまとめ、研究協力者とともに国内外の学会において発表し、意見を徴集する。そして、得られた意見をもとに実践研究の本調査を行う。また、この他の理論的研究などの研究結果などをさらに考察し、具体的な成果として公表することを考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の海外(香港)での学会発表(研究協力者)の渡航費の一部を拠出し、研究成果に対す意見を徴集する予定である。 また、研究遂行上に必要な書籍などを購入する予定である。
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Research Products
(6 results)