2011 Fiscal Year Research-status Report
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23653316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特別支援研究 / 発達障害 / 認知 / 障害の強み / 視覚探索 |
Research Abstract |
視覚探索課題とは画面の上に複数同時提示された視覚刺激のアイテムのなかから、指示された特定の一つのアイテム(ターゲットとよばれる)を可能な限り迅速に見つけ出す作業である。ターゲット刺激以外は視覚的にすべてターゲットとことなる特徴を示し、一般にdistractorとよばれる。実験の参加者は画面上にターゲットをみつけだすや即座に、ボタンを押し、そのボタン押しに要する反応時間がパフォーマンスの指標となる。 正高らは、刺激として表情の線描画をまず用いた。画は笑い、怒り、中立の3通りであり、2通りの実験条件が設定された。一方の条件では笑いの表情画がターゲットとしてとりあげられ、もう一方では怒りの表情画がターゲットに用いられた。いずれにおいてもdistractorは中立の画であった。過去の成人健常者での知見によると、こういう2条件でのパフォーマンスを比較すると、怒りの表情を検出する速度のほうが笑いの表情を検出する速度より、反応時間が有意に短いといわれている。それは怒りに関連する視覚刺激のほうが、扁桃体が処理により深く関与することに起因するからだと考えられている。 正高らの実験でも、定型発達児でおなじ傾向がみいだされた。もしもの子どもにおいて扁桃体の活動が不全であるならば、このように怒りの表情検出優位の傾向は、障害のある子どもでは見出せないと仮定される。しかしながら、本実験では広汎性発達障害の子どもでも定型発達児同様に、怒りの表情の検出は笑いより有意に速かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた初年度の実験が予定通りに行われ、当初の成果が得られた。発達障害によって、視覚探索課題がいかに特徴的であるかが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、前年度の障害のある子どもでの実験の知見と比較するため、定型発達の子どもでの実験を遂行する。そして、最終年度では実際に療育をおこなっている現場での、研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度で、実験の補助のために準備していた人件費に、余剰が生じた。それを来年度での定型発達の子どもでの実験の遂行に必要な補助のための人件費にまわして当初予定していたものと、合算して研究をおこなう。
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Research Products
(3 results)