2012 Fiscal Year Annual Research Report
学びのストーリー活用による知的障害児の個別指導計画への参画
Project/Area Number |
23653317
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小川 巌 島根大学, 教育学部, 教授 (60160743)
|
Keywords | 個別の指導計画 / 知的障害児 / 生徒中心計画 / 子ども中心計画 / 目標意識 / 学びのストーリー |
Research Abstract |
本研究では、個別の指導計画において、教師・保護者連携で設定された目標に対する知的障害児自身の目標志向性・目標の重み付けが評価可能な方法を開発した。やや広範で抽象的な文章表現である個々の優先的指導目標を、それに関連する実際的・具体的学びのエピソード(物語)としてイラスト画化して提示し、自分自身で重み付けさせる手続きである。個別の指導計画での目標設定に知的障害児自身の目標意識を反映させる、個別の指導計画への間接的な参画を可能にするこの方法の妥当性や有効性について検討した。 知的障害特別支援学級に在籍する中学校三年生と小学校六年生各一名を対象に、教師・保護者連携で設定された目標を対象に、彼ら自身による重み付け評価を実施した。その結果、数種比較手続きの結果から、対象児が一貫した重み付けをしていたことが明らかにされた。また、教師や保護者によって日常的に意識づけられていた目標を優先的に選択する一方で、自己の苦手な難課題や、こだわり等自己特性に関わる課題を、教師等の期待に反し優先的目標として選択・重み付けないなどの傾向がみられた。 知的障害児が実際に学校生活等で経験した具体的学習エピソード(学びのストーリー)を目標として絵化し、重み付け(より頑張りたい・めあてにしたい等)させる方法の有効性や諸課題、さらにはこの手続きの、現在の我が国における教師-保護者連携での個別の指導計画過程への有効性や位置づけなどについて、教師への聞き取りの実施も加え検討した。 子ども自身の目標意識を、保護者連携での個別の指導計画に反映させることへの方法の有効性に加えて、さらに、諸エピソードを集積し文章化した結果、広範で抽象的になった目標に関わる、具体的な学習エピソードを絵化する手続きによって、日常的な評価の視点が再認識されることや、目標・課題の意識づけ教材としての目標画の有効性など、副次的効果も示唆された。
|