2013 Fiscal Year Annual Research Report
早期発見・早期対応のための幼児用LD診断尺度の開発
Project/Area Number |
23653319
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳原 正文 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00032219)
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Keywords | 学習障害 / 診断尺度 / 早期発見・早期指導 |
Research Abstract |
本研究は、義務教育段階において診断が確定する学習障害(LD)を、就学前に発見するための「幼児用LD診断尺度」の開発を目指したものである。尺度を作成するに際しては、幼児教育・保育の現場における利便性を考慮して、検査に基づく情報によるのではなく、幼児の日常行動を診断情報として利用することに努めた。 平成23年度は、各種発達検査や検診の観察項目等を参考にして予備尺度を作成し、幼稚園教諭の協力のもとに項目分析を行った。5歳児を対象とした28項目から成る尺度を構成し、保育関係者に調査を実施したところ、LD症状を4つの行動クラスターに整理でき、特に認知・言語機能が重視されることを明らかにした。 平成24年度は、幼稚園現場においてリスク幼児を抽出し、日常生活の行動を継続的に観察した。この結果、前年度に抽出した行動クラスターが生態学的にも妥当性をもつことが確認されるとともに、特に課題が与えられる場面でつまずき行動が出現しやすいことを明らかにした。しかし、観察される行動の組み合わせに個人差が大きく、これらの類型化を図る必要性が課題として残された。 平成25年度は、リスク幼児のつまずき行動の組み合わせに注目して観察を継続した。この結果、ワーキングメモリー・モデル(Braddelety,2002)でいう中央実行系の問題を有するタイプと、この問題に加えて音韻ループの問題を示すタイプの二つの類型があることが示唆された。結果的に、当初作成した尺度はスクリーニング検査としては有用であるが、この予測的妥当性の確認が課題として残された。
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