2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 篤史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314290)
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Keywords | 代数学 / 幾何学 / 数理物理学 / ミラー対称性 |
Research Abstract |
本挑戦的萌芽研究の目的は,dg圏に対する非可換ホッジ理論と平坦構造の函手的構成という,ホモロジー的ミラー対称性の理論においてきわめて重要な問題の解決に向けての活路を探究することである. 非可換ホッジ構造の原型である通常のホッジ構造の理論および周期写像の理論を展開するには,複素ベクトル空間・フィルター・重み・実構造または整数構造・偏極が必要である.しかしながら,非可換ホッジ理論においては重み・実構造または整数構造・偏極の讃衡蔵がいまだに構成されておらず,未完成である. 本年度は,昨年度に引き続き,代数閉体上コンパクトで滑らかなカラビヤウdg圏に対して,原始形式を構成することを目標に基礎研究を行った.前年度に得られた結果の改良として,次のような結果を得た. カラビヤウdg圏ホッホシルトコホモロジー群上には,セール双対性により導かれる非退化な次数付き対称な双線形形式がある.これをカラビヤウ構造を用いてホッホシルトホモロジー群上に写すことにより,よい双線形形式が得られる.これは前々年度に与えた関係式により「剰余形式」とみなせる.ここで,前年度に得られた「良い切断」を用いることで,非可換ホッジ構造の偏極を与えると期待される「高次剰余形式」を定めるという着想に至った.とくに,これがカラビヤウ構造の取り方によらないこと,また自然に期待される「単純ホロノミー性」の仮定のもとで,これが定数倍をのぞき一意的であることがわかる.この結果,ホッホシルトコチェインとホッホシルトチェインがなすホモトピー微積分代数が形式化定理を満たすならば,(形式的な)原始形式および平坦構造が「良い切断」の取り方に応じて函手的に構成されることがほぼ解明された.
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Research Products
(1 results)