2012 Fiscal Year Research-status Report
位相的場の理論、接続のモジュライ空間と幾何学的ラングランズ対応
Project/Area Number |
23654010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 政彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80183044)
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Keywords | 可積分系 / パンルヴェ方程式 / 相空間 / モジュライ空間 / 量子コホモロジーとミラー対称性 / ラグランジュアンファイブレーション / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は, 昨年度に引き続き,研究目的にある接続のモジュライ空間の幾何学とリーマン・ヒルベルト対応の幾何学についての研究を進め,その部分において次の成果があった.特異点の形式的タイプを固定した時の曲線上の安定放物接続のモジュライ空間の構成と,対応する一般化されたモノドロミー空間のモジュライ空間の構成を,特異点が不分岐の場合に論文を投稿したが、その後レフェリーからのいくつかの指摘をクリアーして、 受理され、2013年度に出版される事となった. この間,ストークスラインが重複する時間変数における問題が新たに提起された. また、放物接続のモジュライ空間から放物ベクトル束のモジュライ空間への自然なラグランジアンファイブレーションと,見かけの特異点を用いたラグランジュアンファイブレーションについて考察し、それらが互いに横断であることをいくつかの例で観察した.この点について、射影曲線上で階数が2で4点確定特異点の場合、すなわちパンルヴェVI型方程式の場合に、F. LorayとC.Simpsonと共著論文を発表したが, それ以後、F.Lorayと階数は2のままで, 確定特異点の数を増やした場合の記述を行い,古典的な射影双対性との関係を見出し,論文を完成し現在投稿中である.この論文においては放物ベクトル束のモジュライスタックおよび対応する租モジュライ空間の詳しい記述がなされた.被約でないスキームが自然に表れるが,その構造は興味深い. これと平行して,見かけの特異点の理論は、S. Szaboと理論をある程度整備し、幾何学的ラングランズ対応との関係を考察した.より詳しい接続のモジュライ空間の構造が明らかになりつつあり, 論文を準備中である.位相的場の理論およびミラー対称性については, モノドロミー保存変形の立場や再帰公式等の立場から細野忍,David Morrisonと討論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接続のモジュライ空間とRiemann-Hilbert対応の観点から,幾何学的ラングランズ対応を再定式化する部分については, 研究が蓄積されており,Arinkinらの結果を再構築し、その本質を見定める事が次の目的となる.合わせて、興味深い事実が明らかになってきている.見かけの特異点理論により、接続のモジュライ空間の標準座標を構成する方法が明らかになり、接続のモジュライ空間の代数幾何的な構造定理を得る事が期待される.具体例の計算や、海外の研究協力者との連携が重要になる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Szabo氏との見かけの特異点理論を完成し,論文を発表する. 合わせて、具体例の構成により、方法の有効性を確認する.また、秋にArinkin氏が来日するので、それに合わせて、問題の核心に迫る方法を考察する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
5月にハンガリーに海外出張し、Szabo氏との共著論文を完成させる予定である.合わせて、幾何学的ラングランズ対応についてのワークショップへの国内招聘旅費や、研究打ち合わせの旅費等を計上する.研究に必要な図書費、また計算の為のパソコンの費用を計上する.
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Research Products
(5 results)