2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654014
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 憲 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80110849)
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Keywords | 数体 / ナップサック暗号 / ナップサック問題 / 量子公開鍵暗号 / 低密度攻撃 / 国際研究者交流 (ドイツ) |
Research Abstract |
一般ナップサック問題は量子計算機の下でも困難であろうとされており, その新たな鍵生成法を探り実際に公開鍵生成も含めて考察する事は重要な課題である. 我々は, 量子公開鍵暗号系の具体的方式として提案された, 数体を利用したナップサック暗号系 OTU2000 を拡張した. 初年度は, 秘密鍵を次数や整数基底の制限なしに多項式時間で生成する方法を提案し, より広い秘密鍵空間が取れる様に条件を緩和し, 実際に公開鍵も生成する事に成功した. 今年度は, その方法を定式化して論文に纏め JSIAM Letters に投稿し掲載が決定された. また, 新たに Kaiserslautern 大学の Claus Fieker 教授との共同研究により, 我々の鍵生成法は計算法が簡単であるだけでなく最良に近い鍵が得られる事と, 新たに確率的観点を導入して更に効率的な鍵生成が可能である事が判明した. これは当初に予想した以上の成果を挙げる事ができ, 任意の数体を利用する OTU2000 の拡張に関して現実的で良質な鍵生成法を確立した. 生成した秘密鍵に関して, 対応するナップサック問題の密度は十分高いが, 擬密度は必ずしも高くないという実験結果を得ている. そこで, 生成された公開鍵に対する低密度攻撃による強度の検証が必要である. また公開鍵を生成する為に秘密鍵の一つに制限を加えて, 量子計算機なしに離散対数問題を解いている. そこで, この制限による攻撃に対する脆弱性や鍵生成効率への影響と, 有限体の離散対数問題を解く指数計算法の実装による制限緩和等を考察する必要がある. 同時に, 任意次数の数体での鍵生成法に研究を集中した為, 当初予定した低次数の数体での鍵生成に関する最適化のが遅れている. そこで, この問題を実可換 2, 3, 4 次体に関して実施する予定である.
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