2011 Fiscal Year Research-status Report
代数幾何学的方法によるジーゲル保型形式に対する志村対応の研究
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23654016
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
対馬 龍司 明治大学, 理工学部, 教授 (20118764)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ジーゲル保型形式 / 佐武コンパクト化 / リーマン・ロッホの定理 / 消滅定理 |
Research Abstract |
ジーゲル保型形式およびヤコビ形式は、ジーゲル上半平面の離散群による商空間の非特異コンパクト化である、代数多様体上の正則ベクトル・バンドルの大域的な正則切断である。この正則ベクトル・バンドルのコホモロジー群の次元の交代和(オイラー・ポアンカレ標数)がリーマン・ロッホの定理(あるいは正則レフシェッツ固定点公式)によって計算される。この結果と高次のコホモロジー群が消えるという消滅定理を併せて、ジーゲル保型形式およびヤコビ形式の空間(0次コホモロジー群)の次元が計算される。 ジーゲル保型形式およびヤコビ形式の空間に作用する、ヘッケ作用素の跡を代数幾何学の方法で計算するということは、ヘッケ作用素が非特異コンパクト化に作用し、この作用が正則ベクトル・バンドルおよびそのコホモロジー群に作用するので、このコホモロジー群への作用である線形写像の跡の交代和を計算することである。 したがって問題は2つに分かれる。1つはこの交代和を計算する公式を作ることであり、もう1つは高次のコホモロジー群の消滅定理を証明することである。この消滅定理の証明について検討した。代数幾何学的な消滅定理の応用を検討したが、問題の正則ベクトル・バンドルが平坦なベクトル・バンドルを因子として含んでいて、この平坦なベクトル・バンドルの扱いが難しいことが分かり見込みが薄という結論に達した。現在は調和積分論の手法をつかって、小平・中野型の消滅定理を応用する方向で研究している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次のヤコビ形式の空間の次元を計算した論文(50ページ)を完成させて投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
関係する正則ベクトル・バンドルに係数を持つ正則層のL2可積分層による解消の存在を証明し、L2調和積分論および小平・中野型の消滅定理によって問題の高次コホモロジー群の消滅を証明する。また、ジーゲル保型形式の空間に作用するヘッケ作用素の固定点(集合)についてその幾何学的構造を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内・国外に出張し、共同研究や意見交換を行う。必要な書籍を購入する。
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Research Products
(1 results)