2011 Fiscal Year Research-status Report
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23654022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 俊丈 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (80144111)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 代数曲面 / 極小曲面 / 可積分系 / 離散データ / ガウス曲率 / 平均曲率 |
Research Abstract |
本研究の幾何学的対象は,代数方程式,超越関数によるパラメータ表示,微分方程式などさまざまなかたちで与えられるが,これから実際に模型を制作するために,曲面などの離散データを抽出してそれを工学で用いられるファイル形式に変換する手法を開発した.とくに,3次曲面とその上の直線配置について,データの変換の際に生じる誤差を評価した.クレブッシュ曲面の場合について,CDモデル上で,27本の直線配置を決定し,実際の模型上に直線を描くための技術的な基礎を確立した. まず,幾何学的な対象から,どのようにして適切に離散データを抽出できるかについて研究した.また曲面の離散データからガウス曲率,平均曲率など微分幾何学的な不変量の,よい近似値を計算する手法を考察し,実際の幾何学模型の制作にあたっては,座標の離散データのみならず,曲面の法線方向のデータを各点に加味することが有効であることがわかっているので,このような手法を技術的に確立することを研究した. 特異点理論,可積分系などの分野で,現代の数学の先端的な研究対象に対する,可視化の可能性について研究した.また,幾何学的な対象から,離散データを抽出する手法を確立する一方,逆に離散データから幾何学的不変量を計算する方法についての研究をすすめた.離散データを経由して3次元の実体模型を制作するまでの,インタフェースを構築するためのステップについて,一定の成果を得る事ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クレブッシュ曲面とよばれる3次曲面の上の27本の直線の配置をCDモデル上で描く研究を行なったが,ファイル変換の際に生じる誤差を厳密に評価することが必要となった.本年度の研究の結果,直線の配置をCDモデル上で決定することができて,実際の制作したアルミニウム性の模型の上に直線を描くための,見通しがたった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も3次元実体模型の制作のために必要な,理論的な基礎について,ワークショップなどを開催して,研究交流,情報交換をすすめる.とくに,ヤマダ精機との間で行なってきた共同研究を継続して,展開する.また,海外の研究者との研究交流のため,研究者の招聘,研究集会の開催を行なう.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,昨年度CD模型上で決定した,クレブッシュ曲面上の直線の配置を実際の模型上に描くことを計画しており,そのための,共同研究を行う旅費の支出,コンピュータソフトウェアの購入,幾何学関係の図書の購入をおこなう.また,海外の研究会に参加して,研究成果を発表するための旅費を支出する.
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