2013 Fiscal Year Research-status Report
リッチ形式の局所化と漸近的チャウ安定ファノ多様体における反標準因子の存在について
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23654025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 亮一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
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Keywords | リッチ平坦完備ケーラー計量 / スカラー平坦完備ケーラー計量 / MA方程式の解の無限遠での漸近挙動 |
Research Abstract |
Y を複素射影代数多様体,X を因子で2つの条件 c_1(L)=α[X] (α>1) と c_1(Y)とc_1(L)のn乗の積が正と仮定する.このとき a_tc_1(L) に属する Y 上のケーラー形式の族 {ω_t} で t→∞ のとき a_tとなるもので t→∞ のときω_t は Y-X 上のスカラー平坦完備ケーラー計量に収束するものを構成するためのモディファイドケーラーリッチ流型の微分方程式系を導入した. L=-K_Y のときに,この微分方程式系は解をもち, t→∞ のとき ω_t は Y-X 上のリッチ平坦完備ケーラー計量に広義一様収束することを証明した. このときに有効だった解析は L の偏極が反標準束でなくてもかなり共通であり,ω_t が Y-X 上のスカラー平坦完備ケーラー計量に広義一様収束することを証明するのに十分な先験的評価を得ることができると期待できる. L が反標準偏極のときの解析を利用すると,代数幾何の問題(ホモロジーセルの特徴づけと特殊な標準因子をも一般型代数多様体の基本群の有限性)へのリーマン幾何的アプローチが可能になることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究課題で最終的に目指しているのは,偏極射影代数多様体のK安定性の理論を,問題の偏極多様体$(X,L|_X)$を1次元高い偏極多様体$(Y,L)$に埋め込んで,$Y$上のケーラーポテンシャルに対するMonge-Amp\'ere方程式の族で,$X$を無限遠に遠ざけ,$Y\setminus X$のスカラー平坦完備ケーラー計量に広義一様収束するものの,極限において$X$で潜在的非有界になる解の境界挙動を制御する条件として$(X,L|_X)$のK安定性理解しようという幾何的枠組みを構築することにある.CSCK計量の問題はMonge-Amp\`ere方程式にそのままでは帰着しないが,1次元高いところに埋め込むとMA方程式の族の無限遠での漸近挙動におきかえられるという新しい研究方向を提案できたという点で一定の進展があったと思う.
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Strategy for Future Research Activity |
1. $L$が反標準偏極の場合に$Y$上の問題のMA方程式族の解の無限遠$X$での漸近挙動の言葉で$(X,L|_X)$のK安定性を言い換える.予想は「もし$(X,L|_X)$がK安定ならば問題のMA方程式族の解から構成される$Y\setminus X$上のスカラー平坦完備ケーラー計量は留数として$X$上に$c_1(X)$に属するK\"ahler-Einstein計量を誘導する」というものである.これを証明すること. 2. 偏極が一般の場合に反標準偏極の場合の解析を拡張すること. 3. 2ができたら$(X,L|_X)$のK安定性のもと,問題のMA方程式の極限解は留数として$X$上の$c_1(L|_X)$に属するCSCK計量を誘導することを証明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年12月から2013年3月にかけて体調が悪くなり,3月に11日間にわたって治療のため入院した.治療に専念するため,3月に予定していた海外渡航(台湾,academia sinicaおよび台湾国立大学)を断念せざるを得なくなった. 延期された台湾訪問を来年3月(滞在費台湾持ち)に予定している.その渡航費にあてる.また,9/6-12(上海復旦大学および蘇州)で開催される第10回日中友好幾何研究会(滞在費は中国持ち)に参加するための渡航費にあてる.
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Research Products
(4 results)