2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654027
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鎌田 聖一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60254380)
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Keywords | トポロジー / カンドル / 結び目 / バイカンドル |
Research Abstract |
カンドルの3つの公理は結び目ダイアグラムの3つの基本変形(ライデマイスター変形)に対応している。仮想結び目は、結び目のダイアグラムに仮想交点という新たな情報を持つ交差を許したもので、カンドルやその一般化であるバイカンドルを研究する上でとても重要な対象である。さらに近年、仮想結び目のダイアグラムにバーと呼ばれる線分を追加したねじれ仮想結び目の概念が注目されてきている。ねじれ仮想結び目は向き付け不可能な曲面上の結び目ダイアグラムの安定同値類に対応する概念であり、分類が困難である。これまでの研究で、バイカンドルの定義の見直しを行い、結び目及び仮想結び目の交差に対応する幾何的により自然な形の公理を導き出していた。特に前年度に仮想結び目の仮想交点に対応するバイカンドル上の構造(V構造)とねじれ仮想結び目のバーに対応する構造(T構造))を導入し、今年度は具体的に、交点数の小さな仮想結び目およびねじれ仮想結び目のダイアグラムから自然に得られるV構造とT構造の表示を求めた。表示を求めておけば、今後有限バイカンドルまたはV構造とT構造を伴うカンドルの構成ができた段階で、これらの仮想結び目やねじれ仮想結び目から定められた有限バイカンドルまたはV構造とT構造を伴うカンドルへのすべての表現を求めることができ、これらの代数構造が仮想結び目やねじれ仮想結び目の分類にどの程度影響するかを調べる道具となる。また、位数が小さなカンドルについては、V構造を与えたときそれが許容するT構造はあまり多くないことも想像がついた。 2012年9月3日~4日にてんぶす那覇で「2012琉球結び目セミナー」を開催した。カンドルによる結び目の彩色、カンドルの一般化や関連話題の情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
位数が小さな有限バイカンドルや有限対称カンドルの分類に関してはやや遅れている。V構造とT構造という当初予想していなかった構造に関する調査に時間がかかったため、コンピュータのプログラムが予定通り進んでいないことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
連携研究者や関連分野の研究者と情報交換を活発に行うことで研究を推進していく。位数が小さな有限バイカンドルや有限対称カンドルの分類を試みる。また、与えられた有限カンドルが許容するV構造とT構造を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
連携研究者や関連分野の研究者との情報交換および成果発表を行うための旅費、図書費、消耗品などに使用する。
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Research Products
(4 results)