2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654027
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鎌田 聖一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60254380)
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Keywords | トポロジー / カンドル / 結び目 / 対称カンドル / 高次元結び目 |
Research Abstract |
カンドルは結び目ダイアグラムの3つの基本変形(ライデマイスター変形)に対応した2項演算を持つ代数であり、結び目理論の研究で近年よく用いられている。結び目に固有のカンドルである「基本カンドル」は、結び目の(弱同値に関する)完全不変量であり、結び目の彩色は基本カンドルから彩色で用いるカンドルへの準同型に対応していることや、結び目群も基本カンドルから得られるなど、基本カンドルは結び目研究で重要な道具といえる。研究代表者はかつて、カンドルに「対称構造」の概念を導入し、対称構造を込めた基本カンドル(結び目の基本対称カンドル)を定義し、対称カンドルの鎖複体とそのホモロジー群を使って結び目の不変量を構成していた。特筆すべきは、それらは4次元ユークリッド空間内の向き付けされていない曲面結び目や向き付け不可能な曲面結び目にも定義される点である。今回は、高次元ユークリッド空間内の向き付け可能性を仮定しない余次元2の部分多様体に対して、その基本対称カンドルが定義され、ダイアグラムから対称カンドルの表示を得る方法を厳密に与えた。同時に、向き付け可能で、向きが与えられた部分多様体の場合には、通常の基本カンドルの表示を得ることができる。これらの成果を論文として執筆し、Banach Center Publicationsからの出版が受理された。後者の研究成果を利用して、ダイアグラムが与えられると、J. PrzytyckiとR. Witoldが構成したカンドルコサイクル不変量の計算公式を構成することが可能となる。実際に高次元の部分多様体をダイアグラムで与えている例はまだ少ないため、具体例の計算は今後の課題として残されている。
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Research Products
(5 results)