2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 佳正 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)
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Keywords | 特異値計算 / 相対誤差 / 可積分アルゴリズム / 計算数学 |
Research Abstract |
本研究では、減算を含まず解の正値性が保証されている多様な離散可積分系に基づいて正値性をもつ数値計算法のクラスを一気に広げ、dLVアルゴリズムによる2重対角行列の特異値計算だけでなく帯行列の固有値計算や一般化固有値問題等においても、高い相対精度が保証された数値計算法を定式化することを目的としている。 非対称な帯行列の複素固有値を高精度計算する新しい算法として福田氏等によって提案されたdhLVアルゴリズムがある。これも2重対角行列に対するdLVアルゴリズム同様、解の正値性が保証された離散可積分系dhLV系に基づく算法である。dLVアルゴリズムの場合は解はHankel行列式で表され、その漸近展開によって特異値への収束性が証明されている。これに対してdhLV系ではCasorati行列式が登場するためその漸近解析は滞っていた。 平成25年度において新庄氏や岩崎氏との共同研究により、Casorati行列式の漸近展開公式が導出され、dhLVアルゴリズムの収束の別証明が得られた。一方、Casorati行列式はdhLV系とある種の変換で結ばれるdhToda系の解を与える。この結果、totally nonnegative (TN)行列の高精度固有値計算のdhTodaアルゴリズムが定式化される。このように、Casorati行列式の漸近展開公式は、正値性と高い相対精度をもつ広いクラスの可積分アルゴリズムの理論解析の基礎となる結果である。 また、赤岩氏等との共同研究において、HankelやCasorati行列式の漸近解析を通じて帯行列が重複固有値をもつ場合でもアルゴリズムの振る舞いの詳細な解析が可能となることがわかった。これにより、dhLVアルゴリズムやdhTodaアルゴリズムにおいて、単純固有値の場合と同様の収束証明が得られると期待される。
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Research Products
(11 results)