• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

生物の形作りの数理的記述法の確立

Research Project

Project/Area Number 23654036
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

小林 亮  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60153657)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 三浦 岳  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324617)
手老 篤史  九州大学, マスフォアインダストリ研究所, 准教授 (60431326)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords形態形成 / 血管網 / 卵割 / アメーバ運動 / 数理モデル
Research Abstract

生物の形態形成、特に発生過程における形態形成は、自然界の自発的な構造形成現象の中でも、とりわけ複雑で魅力的な現象である。形態の形成にかかわる遺伝子の発現は、ビコイドタンパクやヘッジホッグタンパクのような転写因子によって制御されることが知られているが、このような因子はモルフォゲンと呼ばれる拡散性の物質で、位置情報を与える分子として体内に非一様な分布を作っている。このような情報物質の分布は場の幾何学的形状に強く依存する。生物の形作りは、形作りの手がかりを与える「情報の発現」と、実体としての「形態の形成」が、あたかも対話するように影響を及ぼし合って、段階的に進行していくものである。それゆえ、発生現象を数理的に記述するためには、「情報の発現」と「形態の形成」の双方を統合的に記述する枠組みが必要である。本研究では、このような観点から、生物の形作りを記述する数理的枠組みを作り上げることを目指している。 数理モデル構築のための技術的な準備として、まず「細胞」や「細胞集団」の数理的表現法の構築を行った。細胞や細胞集団は大変形を起こすので、大変形に強い表現方法であるフェーズフィールド法を用いた。アメーバ運動などを記述する際には、原形質流動が重要なファクターとなるために、粒子法を用いて原形質の移動を表現した。具体的には、粒子をフェーズフィールで記述される細胞膜の中に封入し、ゾル・ゲルの状態を記述する変数を付与し、それによって粒子の運動性をコントロールする。多細胞では、ベクトル値のフェーズフィールドを用いて、細胞間の接着性を界面エネルギーを用いて表現した。 血管の分岐構造に関しては、現在のところ Physarum Solver に流量以外に、もう一つのファクターのセンシングを組み合わせたモデルを検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在のところ、フェーズフィールドモデルによる細胞膜の表現はうまく機能しており、特に細胞集団を表現するモデルとしては、現在多くの研究者が用いている Cellular Potts Model よりも使いやすいのではないかという感触を得ている。また、粒子法との組み合わせで、アメーバ運動(Amoeba Proteus などの大型アメーバの運動)の記述のベースは作れたと考えている。 ニワトリの卵黄嚢に展開される分機構造に関しては、動脈系と静脈系の分化の過程の詳細な観察を行う予定であったが、実験系を組むのが遅れているため、この方向での大きな進展はない。数理モデルに関しては、真正粘菌の最短経路探索のモデルである Physarum Solver において、管径の発展法則を改良(圧力を感知して適応性を修飾する)したもので、一応分岐構造を再現することはできる。ただし、この仮説の妥当性の実験的検証は未完である。 卵割の研究では、細胞分裂の過程は表現できるめどは立ったが、実際に卵割が起こって割球が配置されているという状況下で、モルフォゲンの拡散がどのように起こるかという点は検討中である。

Strategy for Future Research Activity

細胞分裂のモデル:中心体の分裂とその後の運動のモデルと、フェーズフィールドベースの細胞質・細胞膜のモデルをカップルさせ、この2つの過程が支配する細胞分裂のモデルを構築する。中心体の運動に関しては、細胞膜上に分布した CFG (Cortical force generator) が微小管を通して中心体に力を及ぼすという仮定のもとに、モデルを構築する。卵割の場合は、モルフォゲンの拡散の仕方を実験家と検討し、上記モデルに組み込み、最終的には胞胚の形成を再現することを目標としたい。血管網のモデル:血管内皮細胞がどのような情報を感知しているかについて、数理モデルの方から詰められるところまで詰めておく。最近、各器官(特に肝臓の肝小葉)における血管網の3次元イメージングを行っている研究グループと交流ができたので、2次元だけではなく3次元的な血管分岐のパターンのモデルに挑戦する。アメーバ運動のモデル:運動の記述の部分はできたので、仮足の伸展と縮退をコントロールするメカニズムを考慮したモデルを構築する。環境に対する応答まで再現することができれば理想的である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費は、数値計算を行うコンピュータ購入、および消耗品購入にあてる。旅費は、研究分担者との研究連絡や、情報収集と成果発表にあてる。その他は英文校閲にあてる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] 卵割の数理モデル2011

    • Author(s)
      秋山 正和、手老 篤史、小林 亮
    • Journal Title

      数理解析研究所講究録

      Volume: 1748 Pages: 107-124

  • [Journal Article] 上皮細胞の極性を用いた in vitro における三次元組織構造形成2011

    • Author(s)
      三浦 岳
    • Journal Title

      数理解析研究所講究録

      Volume: 1748 Pages: 125-133

  • [Presentation] フェーズフィールド法とその応用2012

    • Author(s)
      小林 亮
    • Organizer
      日本解剖学会総会・全国学術集会(招待講演)
    • Place of Presentation
      山梨大学
    • Year and Date
      2012.03.26
  • [Presentation] 計算するアメーバの不思議2011

    • Author(s)
      小林 亮
    • Organizer
      創立130周年記念シンポジウム「自然を探り、社会を変える数理科学:現象数理学の挑戦」(招待講演)
    • Place of Presentation
      明治大学
    • Year and Date
      2011.12.17
  • [Presentation] 粘菌の行動知に学ぶ2011

    • Author(s)
      小林 亮
    • Organizer
      自然の叡智に学ぶ技術セミナー 第2回セミナー「 生物に学ぶソーシャルイノベーション ~ 個と集団の素敵な関係~ 」(招待講演)
    • Place of Presentation
      大阪科学技術センター
    • Year and Date
      2011.11.28
  • [Presentation] A Mathematical Model of Cleavage2011

    • Author(s)
      M. Akiyama, A. Tero and R. Kobayashi
    • Organizer
      ECMTB 2011
    • Place of Presentation
      Krakow, Poland
    • Year and Date
      2011-06-30
  • [Presentation] A mathematical model for the mode transition of locomotion in Amoeba proteus2011

    • Author(s)
      T. Kazama, T. Okuno, K. Ito, T. Nakagaki and R. Kobayashi
    • Organizer
      ECMTB 2011
    • Place of Presentation
      Krakow, Poland
    • Year and Date
      2011-06-30

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi