2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654038
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 敏治 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60295003)
|
Keywords | 相互依存型決定過程 / 動的計画 / 非直列型推移 / 結合型評価 |
Research Abstract |
本研究課題において新たに生みだそうとしている相互依存型決定過程とは、これまでにない新しい型の多段決定過程モデルであり、複数の決定過程が各々の各期の利得関数を通して互いに再帰的に依存している決定過程である。 24年度は昨年度の成果をもとに、主としてモデルの拡張をはかった。具体的には、まず、複数(3つ以上)の決定過程へ対応するモデルを提案し、より複雑な問題へ対応可能とした。さらに、いくつかの特徴的な目的関数に対し、必要となる政策クラスについて、マルコフ政策のクラスで十分か否かの検討を行い、それぞれの性質に応じた再帰式(最適方程式)を導いた。また、昨年度までの研究では、相互依存型決定過程における各期の利得関数は、ほかの決定過程の最適値に依存するものであったが、最適値のみならずそれを与える最適政策にも依存した利得関数を扱うためのモデルについても検討し、おおよその目途を得た。この結果については25年度の学会等での発表を目指す。 相互依存型決定過程の有用性を示すため、様々な問題に対し適用可能性を探った。その結果、ある種の非決定性動的計画問題が、相互依存型決定過程の枠組みで捉えなおすことにより、きわめて明快にモデル化されることを示した。典型的な例題が、S. Wagon が提出した問題 The Egg Drop である。このことは、与えられた問題をより容易にモデル化可能とするだけではなく、計算機上で数値計算する際、より有効なアルゴリズム構築にもつながるものと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記した項目ごとに述べる。 まず「相互依存構造の再考」については、相互依存型決定過程における各期の利得関数が、最適値のみならずそれを与える最適政策にも依存するモデルについても検討し、おおよその目途を得たことから、おおむね順調と考える。 次に「より一般のモデルに対する最適方程式の導出」については、複数(3つ以上)の決定過程へ対応するモデルを提案し、各種の目的関数について再帰式を導いている点から順調と考える。 また「実問題への適用と数値実験」については、様々な問題に対する適用可能性の検討から、ある種の非決定性動的計画問題に対してきわめて有効との結果を得ており、数値実験が十分にはできていない点はあるが、おおむね順調と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでの研究成果を発展させていく。具体的には、有限期間かつ状態空間・決定空間ともに有限集合のモデルに対して相互依存構造の基礎を確立するべく、扱う利得関数や目的関数の型、状態推移法則等を明確化し、一般的な再帰式の導出を行う。また、例題レベルでの計算機による数値計算実験も行う。さらに、相互依存型決定過程モデルが広く認知されるよう、様々な問題に対する適用可能性の検討も引き続き行う。新たな問題発掘はもちろんのこと、従来扱われてきた問題に対しても、相互依存型決定過程として扱う場合の有効性について検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議をはじめとする各種学会・研究会における成果発表・研究打合せのための旅費が主な使用目的となる。そのほかに、研究成果発表や資料整理のためのノート型パソコンあるいはタブレット型パソコンの購入、各種消耗品や書籍の購入、学会参加費への支出を予定している。
|
Research Products
(7 results)